3路スイッチという便利なスイッチがあります。
普通のスイッチは一つ又は複数の照明を1ヶ所のスイッチでON-OFFするのですが、この3路スイッチは2ヶ所のスイッチでON-OFFできるというものです。
よく階段などで使われているもので、1階スイッチで階段照明を点け、階段を上り2階スイッチで消すというような使われ方をします。こう説明すればほとんどの方は「ああ、あれか」とお判りになると思いますが、どちらのスイッチからも照明をON-OFFできるので、とても便利なスイッチではあります。
このように大変便利なスイッチだけに、電気設備の打ち合わせなどでは、いろんな箇所に設置を勧められる事も多い事でしょう。
例えば次のような場所には、よく3路スイッチが勧められます。
どうでしょうか。確かにそれぞれに便利には違いありませんね。
夜帰宅した時に玄関扉を開けてすぐに玄関照明を点け、靴を脱いでホールにあがり、廊下の照明を点けて玄関の照明を消す、そしてリビング入口でリビングの照明を点けて廊下照明を消す、というように生活動線に沿って3路スイッチを配置してやれば大変便利なような気がします。
でも、本当にそこまでする必要が有るのでしょうか??
多分、いまままではそんなに多くの3路スイッチを使わなかったと思いますが、その生活でそんなに不便を感じていたでしょうか?
ところで、この3路スイッチの設置価格は一体いくら位するのでしょうか。
スイッチの場合はスイッチ本体の製品価格とスイッチ回路を組む配線部材価格、そして工事費用の3つから成り立っています。
一般スイッチなら、その材料と工事費を合わせた価格(材工価格といいますが)はおおよそ3,000円程度かと思います。
それに引き換え、3路スイッチの場合は一ヶ所辺り8,000円程度。
そして、一般スイッチが一ヶ所で済む所を3路スイッチは2ヶ所必要になりますから、その価格差は13,000円にもなります。
これが高いか安いかは各人の価値感によって異なりますのでなんとも言えませんが、特に必要でも無いのに、ちょっと便利だからといって、いたずらに増やすのは考えものではないでしょうか。
最近は低価格の人感センサー付きの照明器具や人感センサースイッチも数多く出回っていますので、その手のものを採用したほうが却って安くて便利な場合も多いでしょう。
業者から提案される電気設備について、専門家からの提案だからと鵜呑みにしないで、自分の生活する情景を想像しながら、要不要を判断して頂きたく思います。