本文へスキップ

マイホームの新築時に気をつけておきたい注意点

電気について 

「太陽光発電ブームも終わり」

太陽光発電ブームも終わり説明図

家づくりの際に必ず突き当たる問題に「オール電化」と「太陽光発電」が有ります。もちろん、オール電化はガスや灯油など他のエネルギーを使わずに電気一本にまとめることであり、太陽光発電は電気の供給を電力会社に頼るだけでなく自宅の屋根に載せたソーラーパネルでもまかなうもので、この2つがセットにならないといけないものではありません。
つまり、ガス電気併用住宅で太陽光発電を導入しても、オール電化にしても太陽光発電は採用しなくても良いわけです。
一時は日の出の勢いであった太陽光発電も、最近はメガソーラー業者が倒産したり、災害時のリスク分散に電気ガス併用住宅を推す声が出始めたりして、いくつかの住宅業者から「太陽光発電ブームも終わり」という声も聞かれるようになりました。
さて、この太陽光発電、今後はどうなるのでしょうか。

太陽光発電が一般家屋で採用され始めたのは1990年代中頃からだと思います。そのころは設置費用がかなり高額であり、その分補助金額もかなり高額だったのですが、それを差し引いても20年で元が取れるかどうか、メインテナンスを考えれば永久に元はとれないのではと言われていたものです。ですから採用するのはエネルギー問題に興味がある新しい物好きの富裕層に限られていました。

それが2010年代に入ると東日本大震災による電力危機の影響もあり政府がFIT(余剰電力買取制度)により極端な優遇政策を取り始めたことから急激にコストパフォマンスが高まりました。要するに「電力会社の原価よりも高い価格で電気を買い取ります」という政策でしたから、これからしばらくの間住宅メーカーは「太陽光発電が絶対お得です」と口を揃えていうようになりました。
事実、あのときはそれが正解だったような気がします。メインテナンス費用を別にして計算すると10年ぐらいで投資分の元が取れて、その後はどんどん儲かるようなデータが出てきましたので。

しかし、電力会社が損する分を税金の他に太陽光発電を設置していない家庭の電力料金から補填するような歪な政策がそんなに長続きするわけがありません。電力会社の買取価格は2010年度が1kWhあたり48円であったものが19年度には24円と半額近くになりましたし2025年度には11円程度になるだろうと言われています。

ということで太陽光発電のお得度がかなり下がってきたのは事実ですが、これから新築するばあいに太陽光発電についてはどのように考えれば良いでしょうか。

まず、社会の流れ全体から言えば、今後も太陽光発電は益々増えていくものと思います。

その一番の理由は家庭で利用するエネルギーの最終形態は電気で統一出来ることがあります。つまりオール電化住宅ですね。
好き嫌いを考えた場合は、調理には絶対ガスコンロという人や、エアコンよりも灯油ストープやガスファンヒーターが好きという人、電気衣類乾燥機よりやっぱりガス乾燥機が良いと思う人も多いでしょうが、そのエネルギーですべてを賄うことはできません。一本化できるということは最も効率が良いということでコスト面では最も有利になります。自動車だってガソリン車からEV車に行く流れは止めようがありません。

その次の理由は、やはり再生可能エネルギーへの(地球規模の)大きな流れですね。化石燃料や原子力に頼らないエネルギーということになると、風力や地熱などよりも太陽光のほうにアドヴァンテージがあるでしょうから、今後もソーラーパネルはどんどん増産されて価格も低価格になって行くものと思います。電気の買い取り価格が下がったとしても設備投資金額も下がるわけです。

それと、電力会社の買い取り価格といっても、それは余剰電力についてのものです。つまり、日中に発電した電気のうち自宅では消費されない分を売っていたわけですが、その分を蓄電しておいて夜間でも自宅で消費出来るようになれば、そんなものはいくらになっても全く関係ないことになります。
以前は、この蓄電という面では全く採算が合わなかったわけですが、つまり太陽光発電したものを蓄電するバッテリーの価格や能力が現実的では無かったのですが、先程述べたように車のハイブリッド化や電動化の進展に合わせてバッテリーの高容量低価格が推し進められてきたおかげて最近は住宅用のバッテリーもいくつか商品化されるようになってきました。
太陽光発電ブームも終わり2
今の流れからすれば、近い将来の家づくりは「太陽光発電+オール電化+家庭用蓄電池+電気自動車」というスタンドアローン型に向かって行くものと思います。 つまり、太陽光発電により、日中のエネルギーはそれですべてをまかない、余った電気は家庭用蓄電池に貯めると同時に電気自動車の充電にも利用する。夜になれば家庭用蓄電池から給電し、それで足りなければ電気自動車からも給電するというシステムです。
太陽光発電ブームも終わり3
まあ、太陽光発電はどうしても天候に左右されるので電力会社からの引き込み線を介した系統連系も補助的に用いざるを得ないかもしれませんが、基本的には一つの家でエネルギーをすべて自給自足できる、つまり災害にも強く家計にも優しい家づくりということですね。
これにAIが加わり、天気予報や季節的要因をもとに発電量を予測して蓄電量や家庭内消費電力量を制御して最も効率よく運用できるようなシステムを作り始めている会社もありますから、これからがとても楽しみです。




トップに戻るボタン

contents