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マイホームの新築時に気をつけておきたい注意点

基礎について 

「基礎だけは頑丈に」

基礎だけは頑丈に説明図

最近は実に多くの建築業者あり、それぞれが新しい顧客を求めて熾烈な販売合戦を繰り広げています。
これだけ多くの会社があり、これだけ多くの工法があり建材があり設備があると、その業者の特徴や魅力を感じさせる大きなPRポイントが無いと、競争に打ち勝って存続していくのはとても大変なことです。

そこで各社共、住宅の強度においても、使っている材料や構造材の接合部の強さをPRしたり、制振や免震について言及して盛んに自社製品をPRしたりするわけですが、当然基礎についても「他の業者よりもこれだけ強いんだ」と力説することになります。

基礎だけは頑丈にの画像1
基礎については、親戚や知人からも「基礎だけは頑丈にしないといけないよ」と教えこまれているので、基礎幅が広いとか、基礎底が深いとか、配筋が余分に入っているとか言われると、「なるほどなるほど」と感心したりして、基礎が立派ならそれだけで頑丈な家が出来るように錯覚したりもするわけです。

ですが、この「基礎だけは頑丈に」と言う言葉、ちょっとおかしいと思いませんか。
建物が地震で倒壊したり台風や突風で屋根が飛ばされたりした時に、基礎だけがなんとも無かったからと言って、なんにもうれしくありませんよね。確かに土台から上がなんともないのに基礎だけが壊れたなんてのは話にもなりませんが・・・・。

実は、現在の住宅は上部の構造体に比べて基礎だけがはるかに強く作られる傾向にあります。
束石 昔の民家などは、基礎と言っても束石として自然石を配置し木造家屋がその上に載っているだけのような物でしたし、大きな寺院建築といえども礎石や柱が格段に立派なだけで基本的には同じようなものでした。伊勢神宮の正殿でさえ柱を地面に深く埋め込んであるだけです。

しかし、過去の災害などの反省の上に立って建築基準法が整備された結果、現在木造住宅の基礎の主流は鉄筋コンクリート造となっており、その多くは基礎内部の底盤部分にも配筋したベタ基礎となっていますが、それだけでも、たかが2階建ての木造住宅の基礎にしては頑丈過ぎるほどになっているのは確かです。
建物は本来、構造体となる各部において強度が均一化されているのが理想とされています。
つまり外力に対して全ての構造部材が同じように抵抗して、抵抗しきれなくなったら全てが同時に破壊するということですね。
現実問題はそんなにうまくはいかないし、そんな理想的な設計なども出来ないのですが、考え方としてはそうです。

基礎だけは頑丈にの画像2


もちろん、強い基礎にすればするほど安心できるわけですから、弱い基礎でも良いと言っているわけではありません。
しかし、最近は事前に地盤調査をして少し心配があるだけでも地盤補強工事を行い、その上に更に強靭な鉄筋コンクリート製の基礎を構築するわけですから、なにも他の業者よりも強く見せかけるだけで採用された「強く思わせる仕様」に踊らせられる必要は無いように思います。

最後に蛇足ですが、鉄筋コンクリート製基礎の強度はその基礎断面の大きさ(基礎幅や高さ)よりも基礎の総延長(平面的な長さ)の方に大きく左右されますので、「一般的な基礎と当社基礎断面との比較図」などを見せられても、それだけで惑わせられないようにご注意下さい。
同じ間取り図を示して、各社の基礎がどのように入れられるのかを見比べてみるのも面白いと思いますよ。




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