本文へスキップ

マイホームの新築時に気をつけておきたい注意点

契約について 

「約款は後で目を通して」

「約款は後で目を通して」説明図

工事請負契約を結ぶ場合の契約書類は以下のようなもので構成されています。
(勿論一般的な話で、個々のケースで多少は異なると思いますが)

契約書本文 :契約当事者名や金額、工期、契約日などを記載したもの
約款    :契約内容について定めた個々の条項
見積書   :見積書、内訳書、明細書など
契約図書  :仕様書、平面図、立面図、設備図など

このうちの契約図書や見積書などは、これまでの契約に至る段階で見たり説明を受けたりしているものなので、契約日には、添付されたそれらの書類が今までの打ち合わせと違っていないかどうかを確認するだけの作業になります。
ひょっとしたら、初めて見るような図面も添付されているかもしれません。例えば打ち合わせの段階では省略されていた詳細図などが含まれることもありますので、もし、そういう図面があれば、改めて説明を受けるようにしましょう。

契約書本文は、契約前の最終打ち合わせで確認した工事請負金額やその支払い方法、工期や引き渡し期日などを記載する書面ですが、すでにその内容は記載してあり後は契約者の記名捺印だけの状態になっている場合と、契約当日にその場で確認しながら内容を記載していく場合があります。大手のハウスメーカーなどでは前者が、地元の小規模業者の場合は後者が多いのでは思いますが、いずれの場合でも、この本文については、読み合わせ等をしてしっかりと確認しなければならないのは言うまでもありません。

問題は約款です。
約款は、本文に書かれていること以外の色々な条項を記載した書類であり、これも契約書の一部です。
内容としては、トラブルになることを避けるために双方が果たすべき責任や、問題が起こった場合の処理の仕方などが細々と書かれています。(例えば、建築途中で地震台風などの不可抗力で損害が発生した場合はどうするかとか、もし引渡し時に代金が払えなくなった場合はどうするか等々)

約款は通常、建築業者のほうで印刷された所定の内容のものが用意されています。
本来は契約者双方が話し合いのもとで作成すべきものですが、普通は建築主側にそんな知識も経験も無いことから、業者が用意したものを契約段階で建築主に確認してもらうという形にならざるを得ません。
国土交通省では、民間の請負契約で一方的に業者側だけに有利な内容の約款にならないように「民間建設工事標準請負契約約款」を用いることを勧めています。ハウスメーカーではこれをそれぞれの社内基準に合わせて多少アレンジしたものを定めている所が多いようです。
また、建築学会や建築士会などで「民間(旧四会)連合協定 工事請負契約約款委員会」なるものを発足し、標準的な約款である「民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款」という雛形を作成、販売してもいますので、小さな地元工務店などではそれを購入してそのまま契約書を作成しているところも少なくありません。
いずれにしても、約款は契約書の一部であり重要な書類であることには間違いありません。

契約書約款


ところが、実際の契約時において、約款はあまり重要視されずに、こんな言葉で片付けられる場合があります。

「約款には細かい事がいろいろ書かれていますので、後で目を通しておいて下さい」

確かに、約款を読み合わせするだけでも10分程度はかかりますし、それを説明したり質問に答えたりしていると1時間くらいはかかることもあります。業者サイドが「後で目を通して」と言いたくなる気は十分判ります。それに生命保険や自動車保険の約款(これはまた膨大な量の条項がかかれていますので、ほとんどの加入者はまともに読んでいないと思いますが)と同じように「約款なんかは後でいい」という感覚が建築主の方にもあります。
しかし、先にも述べたように、施主が果たすべき責任やトラブルが発生した場合の対処の仕方なども書かれていますし、工事に関して持つ漠然とした不安も条文を読んで説明を受ければ解消することもありますので、もし「約款は後で」などと言われても、「大事な事なので詳しく説明して下さい」と返すようにしましょう。
それでも説明を拒むような業者や担当者なら契約すべきではありません。

一番良いのは、契約書の本文と約款については予めサンプルをもらうなどして事前に確認しておく事です。
契約日が決まったら、「予め確かめておきたいので、約款も含めて契約予定書類のコピー一式をもらえませんか」と依頼してみたらいかがでしょうか。


参考:民間建設工事標準請負契約約款(乙)



トップに戻るボタン

contents