住宅の冷暖房にエアコンを使うのはもはや当たり前の事になりました。
暖房についてはガスや石油のファンヒーター、たまに薪ストーブを使うという方もみえますが、冷房はやはりエアコンに頼ることになるでしょう。
そんな住宅の必須設備ともいうべきエアコンですが、新築時に建築工事に含むにしろ、家電量販店で購入するにしろ、能力的にどの程度のものを選べば良いのか迷ってしまう方も少なくありません。
そんなエアコン選びの際によく耳にするのが「エアコンは少し大きめの物を選びましょう」という言葉。
例えば、8畳の部屋につけるのなら10畳用のエアコンを選びましょう、というわけです。
そこで某メーカーのカタログを見てみると、「冷房時おもに○畳用」という表記で6畳用から18畳用までの商品が並んでいます。
6畳用機種の品番は「〇〇-22〇〇○」というように「22」という数字がどこかに入っているのが通例です。これは冷房能力が2.2KWであることを表しているのですが、一般的にはエアコンの型式数字といいます。つまり簡単にエアコンの能力をいう時に「22型エアコン」とか「40型エアコン」などと呼ぶわけです。
ちょっと分かりやすいように、目安とする部屋の大きさと型式それに普及価格帯商品の参考価格をまとめてみたのが以下の表です。
もちろん価格はメーカーやグレード、販売店、販売方法、発売年によってまちまちですので飽くまでも比較参考用としてお考えください。
さて話は戻って、8畳の部屋につけるのだから8畳用で良さそうなのに「少し大きめ」ということなら10畳用の105,000円の機種を選ぶことになります。8畳用との価格差は1万円以上になります。
本当にそんな必要があるかどうかというのが、今回の話です。
なぜ、少し大きめが良いのか、それは以下のような理由からだと言われています。
いかにももっともらしく聞こえる言葉ですが、実はこれらの言葉に惑わされて大きな機種を買う必要はありません。
確かに1から3までは間違ったことは言っていません。しかし、肝心の目安となる部屋の大きさの決め方に大きな疑問があるのです。
実は、この目安となる部屋の大きさはメーカーが勝手に決めているだけのもの、つまりメーカーにとって都合の良い表現に過ぎないのです。(どうせなら大きくて値段の高い商品を買って欲しいのですから)
例えば、同じ8畳の部屋といっても、木造や鉄骨造などの構造によっても違うし、沖縄お北海道という地域によっても、南の部屋なのか北なのかによっても、住む人が暑がりなのか寒がりなのかによっても大きく異なるはずですよね。
しかも、このエアコンの目安は、家電メーカーがもう何十年も前に高断熱高気密などという言葉さえまだなかった頃の日本住宅を基準に設定したものらしく、最近の高性能住宅にたいしては全く当てはまりません。
日本にエアコンが普及しだした昭和50年代の日本家屋はやっとアルミサッシが付き始めた程度の木造住宅が主体でしたから、その頃に決めた目安が今では時代遅れになっているのは当然ですね。
まあメーカーとしても、現在のように新築住宅の断熱性が千差万別であるうえに古い既設住宅への取り付けも想定される以上、新しい目安を作りにくい事も事実でしょう。
もう、畳数といった目安ではなく、型式そのものを選定基準にしてほしいと本心では思っているかもしれません。
それでは現実問題として、どうやってエアコンのサイズを選んだら良いか。
わたしは、新築の断熱住宅(窓のサッシはペアガラスか2重ガラス、壁床天井には断熱材が入っている程度)であれば、メーカーがカタログに載せている目安の倍の広さまでは対応可能だと思っています。
つまり、22型であれば12畳まで、28型であれば20畳まで使えるだろうというわけです。
実際、我が家は25年前に建てた断熱住宅ですが、一階も二階も18畳の部屋に28型をつけていますが全く問題ありません。
実は当初はそこに22型をつけていたこともあり、そのときは流石に能力不足を感じたこともありましたがそれでもなんとか10年間は使えたという経緯があります。
買い替え時に28型を購入するときも(店頭では余分なやり取りを防ぐためにも)18畳とは言わずに12畳とごまかしましたが、取り付け業者にはきっちり「ちょっと無理があるかも」と言われました。
メーカーも販売業者も、少しでも高い商品を買わせたいわけで、例の目安表をもちだして盛んに説得してきますが、自分の家に自分でエアコンをつけるのですから何ら文句を言われる筋合いはありません。
最後に一言、これまでも高性能フィルター付きとか、空気清浄機能付きとか、自動お掃除機能付きなどの高付加価値商品も使いましたが、結局は掃除がし難かったり付加機能部分が故障したりして失敗してきましたので、最近はシンプルな普及価格帯のエアコンを選ぶことにしています。