窓にはいろいろな種類があります。
左右開き窓、観音開き窓、横すべり出し窓、縦すべり出し窓、上げ下げ窓
はめ殺し窓、横軸回転窓、内倒し窓、外倒し窓、ジャロジー窓などなど。
しかし、日本で一番使われているのはやっぱり「引き違い窓」ですね。
そして、ハウスメーカーの設計担当者が一番に奨めるのもこの「引違い窓」だと思います。
施主が窓に対して何も要望を出さなければ、まずはこの窓が設計図面に描き込まれていて、「窓は引き違いが一番ですよ」という話になります。
特にローコスト住宅の場合は、必ずといって良いくらい、引き違い窓が標準設定されています。
何故ならば、同じサイズの窓であれば、引き違い窓が一番コスト面で安いからです。
安い理由は、出荷量が一番多いから。
つまり生産ラインが出荷量の多い窓に合わせて効率的に出来上がっている訳です。
材料費はそれほど変らないくせに(というより、開閉しないはめ殺し窓が一番使用材料は少ないはずなのですが)コストはかなり低く抑えられています。
これで機能的に問題なければ、確かにお得感もあり優れた窓だと言えます。
そして機能面においても他の開閉式窓に比べて以下のメリットがあります。
ざっと数えただけでも、これだけの利点が有るわけですから、ハウスメーカーが奨めるのも当然かも知れませんし、私も「引き違い窓が使い易くてお得な窓だ」ということにはなんら異論は有りません。
だからといって、どの部屋のどの部位に対しても引き違い窓を使う、というのは如何なものでしょうか。
なぜなら、引違い窓にはデメリットもあるし、他の種類の窓にもそれを使うに足る長所があるからです。
そういう、各窓についての長所短所の説明を何もせずにおいて、コストのみを優先させて「引き違い窓」を奨めたり、部位毎に窓を変えたりすると開口寸法が違う上に取り付け方法も変わるので面倒だから、という作り手側の理由だけで、とにかく「引き違い窓を奨めておけ」という姿勢については疑問を感じます。
それでは、先程述べた引違い窓のデメリットとはなんでしょう。
建築基準法では住宅の居室について必要最低限の採光面積と換気面積を義務付けています。
最も簡単に、最も低価格にそれを達成する為には引き違い窓の採用が最も便利です。必要換気面積は必要採光面積の半分もあれば充分だからです。
この点も、これだけ引き違い窓が多用される理由になっているかもしれません。
しかし便利だからといって、最もその部屋に、その部位に向いている窓では無いかもしれません。
ついつい当たり前のように採用してしまいがちな引き違い窓ですが、図面検討段階で、もう一度、窓のサイズや種類についてもご検討されることをお薦めします。