災害時の電気の確保ということでは、モバイルバッテリーが一番手軽で使いやすい事は既に述べたとおりですし、そのモバイルバッテリーに充電できるソーラーチャージャーとの組み合わせが大変安心感を生むこともお話しました。
そして、さらに大容量で定格100Vの家庭用電化製品をも動かすことができるポータブル電源についても前項でご紹介してきました。となれば、そのポータブル電源に停電時でも充電できるソーラーパネルについてもやっぱり述べざるを得ませんね。
前項で容量300Whのポータブル電源を紹介しましたが、ポータブル電源の多くはソーラーチャージコントローラーを内蔵しているため、ソーラーパネルとケーブルで接続してやればそのまま充電する事ができます。
他項で紹介したモバイルバッテリー用ソーラーチャージャーは、ソーラーパネルにチャージコントローラーがついた製品だったのに対して、今度はソーラーパネル側にコントローラーを必要としないので、安価で大型の汎用タイプソーラーパネルが使えるわけです。
汎用タイプのソーラーパネルはMC4コネクタで接続できるようにしたものが主流であり、ポータブル電源側にMC4ケーブルが付属していればそれをつなげるだけで充電できるというわけです。
もちろん、ソーラーパネルの大きさは色々ありますが、選定の際は何ワットの電力を発電できるかがポイントになります。
では、容量300Whのポータブル電源を充電する際にはどの程度の大きさが適当なのでしょうか。
これはやはり実際の使い方を想定して決めるしかありませんので、私の場合は以下のような状況を想定しました。
【ガス給湯器で風呂を沸かす】+【ガスファンヒーターで4時間暖房する】+【10WのLED照明を6時間点灯する】
この際に必要な電力量は、180W×0.25時間+30W×4時間+10W×6時間=225Wh
となりますから、多少のロスを考えても毎日250Whを充電できるとすれば、停電が長引いてもなんとかなる計算がなりたちます。
さて、ソーラーパネルに表示されている発電量は太陽に直角に設置した場合の(もちろん晴天時の)最大値ですから、実際はパネルの設置角度や季節、時間、天候によって変わります。それらを勘案して一日あたりの発電量は表示ワット数の3倍弱と言われています。つまり100W出力のソーラーパネルなら一日あたり250~300Whの電力量が得られることになります。
ということで、私が想定する状況においては(やや強引ではありますが)100W出力のソーラーパネルが相応しいということになりました。
では、100Wのソーラーパネルでポータブル電源にどの程度蓄電できるのか、実際に設置して測定した結果をご紹介したいと思います。
使用したポータブル電源は FLOUREON F300 という製品になります。この製品には入力用にMC4ケーブルが付属しています。
これに接続したソーラーパネルは RENOGY RNG-100D-SS という100W出力の製品でMC4ケーブルが取り出し用についています。
ソーラーパネルの設置場所は35度勾配南向き屋根についている天窓の内側にガラス面から4センチほど離して設置しました。ここだと天窓枠に遮られて朝夕は影になる部分ができますし、そもそも天窓自体のペアガラスも多少は光を妨げますので本当の実力は発揮できない位置ですが、取り付けや配線が簡単だったのでここに決めました。
ソーラパネルとポータブル電源は約10mのVVFケーブルで接続しましたのでここでも電圧降下(1Vぐらい)が起きているはずです。
このように、ソーラパネルを屋外に直に取り付けるよりも不利な条件では有りましたが、この組み合わせで実際に充電してみたところ以下のような結果になりました。
4月の晴天時に残量ゼロから7時半に充電を始めて16時半に満充電になりました。約9時間で300Whの蓄電ができたことになります。
これは晴天時ですからこうなりましたが、曇りや雨の日は当然発電量がぐっと減ります。どのくらいかというと、一日中つないで置いてもポータブル電源の目盛りが一つから二つ増える程度でした。目盛りは8つありますから、一日で30~50Wh程度ではないでしょうか。まあ、これでもLED照明用だけなら合格点といえます。
停電が続くような場合は、天気予報を見ながら蓄電量と放電量のバランスをとって運用するようにしたいものです。
実際の発電データについては「100Wソーラーパネルの発電量実測データ」をご覧ください。
さて、先程のポータブル電源とソーラーパネルとの接続で少し注意すべき点があります。実はそれぞれのコネクタをそのまま接続しただけだと全く充電できませんでした。というのはコネクタ同士の極性が合っていないからです。ソーラーパネルのコネクタのオス側はプラスで、それに接続するポータブル電源のコネクタのメス側はマイナスだからです。
本当ならメス側がプラスでないと極性が合わないわけで、この極性違いによる不具合はよく発生しているらしくポータブル電源の販売先に連絡すると逆極性のケーブルを送ってくれます。私の場合は、どちらにしても延長ケーブルが必要だったし室内配線でもあったのでVVFケーブルとMC4コネクタを購入して極性を合わせて配線しました。
本サイトの災害写真の出展は「消防科学総合センターの災害写真データベース」によるものです