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 聴覚障害を扱った物語


図書館内乱

図書館内乱

作 有川浩

これは聴覚障害をもつ主人公の物語ではありませんが、主要登場人物に関連して、あるストーリーの中で中途失聴者の少女:毬江が大きく関わっています。そして、そのストーリーからこのサイトでも別に紹介している「レインツリーの国」が執筆されるきっかけとなった小説でもあります。

基本的には図書館の特殊部隊所属する笠原郁一等図書士がメディア良化委員会の検閲と戦う日々を痛快に描いた作品です。
といっても初めてこの本を読み始めた人は図書館と自衛隊が混在する感じがして面食らうに違いありません。
実はこの「図書館内乱」は「図書館戦争」という作品の続きなのです。
「図書館戦争」はアニメ化、映画化もされているので、そちらをご覧になった方はなんの戸惑いもなく入って来られると思います。またそうではなく、初めてこの作品を読み始めた人も、ところどころで過去とのつながりが分かるように解説もされていますので、読み進んでいくうちに自然と話しの中に溶け込んでいくことでしょう。
却って、聴覚障害に関心をもたれている方は、余計な先入観がないぶん、この本から読み始めたほうが良いかもしれません。

さて肝心の毬江にかんするストーリー。
笠原郁はある日、図書館内でハンカチを落としたのに気づかない少女を見かけます。後ろから声をかけても知らんぷりの彼女に「何、無視されてんの?」と気分を害するものの、それが耳のわるいせいだと判り、しかも同僚の先輩である小牧と知り合いである事もわかって親近感を覚えます。
この小牧が毬江に聴覚障害を持つ主人公のラブストーリー「レインツリーの国」を貸してあげることが、とんでもない事件に発展していくのですが・・。

内容についてはこの程度にしておいて、それでは本書の中で心に残った一節をご紹介しましょう。

同じように、喋ることにも気後れするようになった。耳が不自由になっても喋ることが普通にできると思っていたが、まずボリュームの調節ができなくなった。静かなところならともかく、教室や街中など騒がしい場所で適切な声の大きさを選ぶことは補聴器を付けていても難しかった。
大きすぎたり小さすぎたり、声の調節だけで友達との会話も滞る。
気を抜くと自分の耳で自分の声が確認できるボリュームで喋ってしまい、声が大きくなりすぎて周囲の注目を集めてしまう。意識して声を抑えると、今度は小さすぎて何度も聞き返される。そんなことの繰り返しだ。
それだけではない。内緒話をしているときに人が近くにきたことに気づけず、そのまま喋って内緒を漏らしてしまうようなことが何度もあって、そのうちあまり喋らなくなった。
携帯のメール作成ならそんな失敗を防げるが、文章を作って回覧するタイムラグで話を止めてしまうので、多人数のお喋りには向かない。
話が聞こえない時に「もう一回言って」と頼むのは授業中より難しかった。多人数での会話は一対一よりさらに聞き取りづらいが、聞こえない度に会話を止めていると空気を壊してしまう。聞こえないまま曖昧に笑って合わせることが増えた。
聞こえないことを我慢していると授業も友達付き合いもつまらなくなって、学校も休みがちになった。するとたまに登校しても友達はあまり毬江に話しかけなくなった。休みのせいで話題が常に遅れているうえ、耳が不自由な友達を輪に入れるのは面倒くさい。皆が悪気な億劫がった結果だった。毬江はその場にいても空気と変わらなくなった。



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