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聾者、突発性、中途失聴、老人性難聴者などが送る様々な人生
作 有川浩
聴覚障害を持つ女性と、その障害ゆえに交際の仕方に戸惑う男性との恋愛物語です。
レインツリーの国というのは主人公「ひとみ」が開設している個人サイトの名前。
もう一人の主人公である「伸」が高校生の頃に感銘を受けた小説について検索していて偶然たどり着いたそのサイト管理人にメールを送ったことから、メールのやり取りが始まり、お互いに親しくなっていきます。
そして「一度会いたい」と言う伸が送ったメールにはなぜか及び腰の返事が。
それでもやっと初デートに漕ぎつけたものの、ひとみが隠そうとしていた聴覚障害が判り、それ以来ギクシャクした交際が始まります。
聴覚障害者の気持ちと、戸惑いながらも付き合いを深めたい健聴者の心がよく描写されている傑作だと思います。
以下、本文の中から心に残るフレーズを一部抜粋してご紹介します。
でも、同情で優しくされるのがイヤなんです。
私にだってプライドがあるんです。
ずっと楽しくメールをしてきて、お互いの現実を知る前にすごく仲良くなった伸さんだから、伸さんの前では私は普通の女の子でいたかったんです。
耳のことで同情されて優しくしてもらうんじゃなくて、同情で楽しい一日をもらうんじゃなくて、メールで楽しかったみたいに、普通に会いたかったんです。
一回だけって決めてたから、一回だけ耳のこともバレないように頑張って、あの日だけは普通のデートみたいなことしたかったんです。
障害は恥じゃない、隠さなくてもいいと身内にも同障者や健常者の方にもたくさん言われたことがあります。
伸さんが私に言うようなことは、もう誰かが絶対に言ったことなんです。
それでもやっぱり私は、恥じなくていいはずの障害で恥ずかしい思いや嫌な思いをいっぱいしたし、私は伸さんの悪意を疑ってるんじゃなくて、世の中を信じることが恐いんです。
伸さんは違うって信じることがもう恐いんです。
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