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 聴覚障害を扱った物語


ドルリイ・レーン最後の事件

エラリー・クイーン 作   宇野利泰 訳

重度の難聴者である主人公ドルリイ・レーンが得意の推理で数々の事件を解決していく「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」に続く名作シリーズの完結作品になります。
シリーズといっても、各作品はおのおの独立した構成になっていますので、この作品だけを読んでも充分に推理小説の面白さを堪能できます。
作者のエラリー・クイーンは世界の三大推理小説作家の一人に数えられるほど有名な存在ですが、特に評価の高い「Yの悲劇」に負けず劣らず、私にとっては、この「ドルリイ・レーン最後の事件」が最も記憶に残った推理小説の一つです。
レーンは小説に初登場以来、得意の読唇術を駆使して、難聴であるハンディを全く感じさせないような活躍を見せてくれるのですが、この作品に於いてはこの「聴覚障害」が非常に重要な要素として取り上げられています。
初めて読んだ時に(その時には聴力障害についての知識が皆無でしたので)、「難聴者でも読唇術さえ学べは普通に会話することも可能なんだ」とビックリさせられ、それが深い印象を残す事に結びついたような気がします。
今改めて読みなおしてみると、いろいろ不自然な場面も出てきます。例えば、数人が集まって会話しているような場面で、一人の発言を遮えぎるようにして他の人が急にしゃべりだすような場面が何度もありますが、そんな場面でもレーンは平然と聞き取っています。読唇でそんな芸当は絶対に出来ないわけですが、そのような細かい部分までを問い詰めていったら推理小説(というよりも小説そのもの)が成り立たなくなってきますので、その辺りはサラリと読み流すにしくはありません。
推理小説の紹介で、あらすじを述べるほど間抜けな話はありませんので勿論それは割愛しますが、「聴覚障害者が登場する物語」として真っ先に頭に浮かんだのがこの作品だった事は確かです。

以下、本文の中から心に残るフレーズを一部抜粋してご紹介します。

ここに言うドルリイ・レーン氏には、謎めいた点など全く無く、むしろ世にも稀な有名人である。年齢は七十歳を超え、かつての光彩陸離たる名俳優も、舞台を退いてすでに十数年。いまはニューヨーク州のハドソン河の上流に臨むウェストチェスターに、数エーカーの敷地を入手し、城壁さながらの隠遁所を建設し、さらにその周辺に、彼の愛好してやまぬエリザベス一世期のイギリスを再現したかのような荘園風集落を散りばめた。これが氏の称するハムレット荘で、たしかに往年の名俳優にふさわしい住居だった。現役時代のレーン氏は、並ぶ者のないシェイクスピア劇の名俳優であったが、その多彩な経歴の絶頂にあった六十歳の時、突如、悲劇的な急患に襲われ、聴力を完全に失った。だがしかし、哲人さながらに沈着な氏は、舞台を引退すると同時に、読唇の技術を習い始め----この技術の習得にも、氏は驚嘆すべき能力をし示した----そしてハムレット荘に住みつき、永い間の舞台稼業で蓄積した膨大な資産からの収入で、贅沢な生活を過ごしていた。
(数行省略)
ところがそのあと、端緒は引退後も倦むことを知らぬ老優の気紛れに過ぎぬのだが、レーン氏はふとしたきっかけから、その鋭敏な知能を犯罪事件の解決に当てることになった。それが当時のニューヨーク市警本部を主宰していたサム警視と知り合った理由なのだ。


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