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聾者、突発性、中途失聴、老人性難聴者などが送る様々な人生
著 斉藤里恵
1歳と10ヵ月で病気のために聴力を完全に失った銀座の人気ホステス斎藤理恵さんのエッセイです。
(斉藤さんは2015年の4月に行われた東京都北区議員選挙で6,630票を獲得しトップ当選しました。)
厳格な家庭で育まれながらも、少女時代に辛い経験をしたり、厳格過ぎる親に反抗して「青森一の不良娘」と呼ばれるまでになった少女時代、学校を中退して郷里の青森でホステス稼業を始めて接客業が自分に向いていると自覚し、ついには銀座のクラブで売れっ子ホステスになるまでの軌跡が記されています。
「お客様の話を聴いて受け答えするのがホステスという仕事だ」という先入観を覆して、もっぱら筆談だけで会話を成立させるばかりか、筆談ならではの利点を活かしながら巧みにコミュニケーションを図る前向きな生き方には感心してしまいます。
数々の面白いエピソードを紹介する中で、全ページに渡って障害者としてハンディを負っていることなどは全く感じさせないポジティブ思考があふれています。
それでは本文の中から、一部を抜粋してご紹介します。
授業中、私に怒ったA先生が、でかでかと黒板に白いチョークでこう書きました。
「君は神に耳をとられた」
日ごろから耳の聞こえないのが当たり前だと思い、私は自分の障害のことをあまりくよくよ考えたり、暗い気分に陥ったりすることはありませんでした。考えても仕方のないことだと、子供心に割り切って考える癖がついていたのです。
そんな私ですが、
「君は神に耳をとられた」
という大きな文字を目にした瞬間、悔しさと悲しさでいっぱいになりました。我を忘れた私は、A先生に向かって思いっきり教科書や筆箱などを投げつけ、言葉にならない金切り声でできた罵声を浴びせかけて教室を勢いよく飛び出しました。
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