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こんな大河ドラマを見たい! だから作って欲しい!

個々の放映作品について

「いだてん」低視聴率のわけ

「いだてん」が大河史上最低の視聴率に喘いでいます。
まさにストックホルムオリンピックで日射病にやられて喘いだ主人公の金栗四三のようにです。

これほどの低視聴率となると、これはやはり「ダメなドラマ」のレッテルを貼られたわけで、NHKの制作陣も本当に謙虚に反省してほしいと思います。
それでも、製作者側とか進歩的文化人?などからは

「視聴率だけで作品の善し悪しは判断できない」
「よく出来たドラマだからこれからどんどん面白くなるはず」
「クドカンワールドを理解できる人はわかってくれている」

などなど いろいろと弁明やら弁護する言葉も耳にしますが、やはり大河ドラマは視聴率を稼げなければなんの意味もありません。
昔のビデオテープ競争で「やはりソニーのベータマックスの方がVHSより優れたいたのに」とか、最近のスマートフォン競争で「Windowフォンの方がAndroidやiPhoneよりも優れていたのに」などの言い訳がいかに空虚に響くかを考えれば自明の理だと思います。

はっきり言って、大河は娯楽番組ですから「視聴率が低い=面白くない」では話にならないのです。
視聴率を度外視してドラマの内容だけを充実させ文化的価値を求める作品作りをしたいなら教育テレビやBSで放映すればよいのです。
なんといっても、NHK総合テレビの日曜夜八時というゴールデンタイムで放映するドラマなんですから、それだけの責任感をもって作ってもらわないといけません。

というわけで、視聴率からいっても、私の主観からみても、とにかく、誰がなんと言っても、「イダテン」は失敗作です。
もうこれからの挽回は無理でしょうね。
はじめは期待して見ていたのにそれに堪えられなくなって離れていった視聴者を取り戻すのは並大抵のことではありませんし、これから展開されるストーリーを予想しても起死回生の大逆転が起こるとは到底考えられませんから。

では、なにが失敗の原因だったのか。
私も、今回の大河は面白くないと思いながらも長年のファンであるが為に無理やり見続けているだけですから、本音の批判を述べることにします。

いちばんは、オリンピックの物語に無理やり落語物語を絡ませていること。
たしかにいろいろ批判がでているビートたけしの割裂の悪さもありますが、そもそも古今亭志ん生の物語を大河で扱うことが間違っています。まあ同じ時代を生きた有名人に語らせるという発想は悪くないでしょうが、それならナレーションとしてさらっと流せばいいのに、それほど面白くもない青年時代のエピソードを東京オリンピック招致当時の志ん生に語らせるのにあれだけの放映時間を割く必要があったのでしょうか。落語家は主人公を語る立場であって自分が主人公になってはいけないのではという疑問もあります。第一、たけしと志ん生はぜんぜんキャクターが違いますし、他項でも述べているように、ビートたけしのイメージが強すぎて視聴者は志ん生に感情移入ができません。つまり何度高座シーンを見せられても、志ん生落語を聞いているというよりもたけしのおしゃべりを聞いているだけ、のような気にさせられるのです。
しかも、金栗四三のオリンピック物語の映像中に突然志ん生物語が入っている異常さは気味が悪くなるほど。あのストックホルムでの過酷なマラソンの最中に若き志ん生が人力車を引きながら落語の勉強をする映像を差し挟む理由がどこにあったのでしょうか。せっかく頑張っているランナーに感情移入しようと思っているのに、急にプツンとそれが切れてしまいました。このあたりは完全に製作者側の自己満足以外のなにものでもないでしょう。
これから視聴率を少しでも回復したければ、この志ん生物語をプツンと終わりにしてしまうほかありません。

次に挙げるのは、勘九郎演じる金栗四三のバカさ加減です。どんなに真面目な主人公にしたって、ある程度コミカルな面やユーモアは必要でしょうが、今回描かれているのは田舎者で運動バカ丸出しの金栗四三でしかありません。毎回冷水を頭からかぶって「アチャー」などと奇声を上げているわけですが、あれはどうなんでしょうね。スヤ役の綾瀬はるかまでが「アチャー」ですからね、「そんなわけないだろう」とまたプツン。

正直言って、いろんな登場人物が次から次へと出てきてはドタバタを繰り返しているだけで、面白くない上に見ているだけで疲れてきます。
もう今回は途中で棄権しようかと本当に考えてしまいます。
出演者も製作者もみんな頑張っているのでしょうが、頑張っていることが評価されるような甘い業界ではありません。こんなドラマ、民放ならとうに打ち切りになっているところでしょうね。
高座シーンのない後半戦に期待したいところですが、もうこの時期は制作もかなり進んでいるでしょうから、来年の光秀に期待するしかないのかもしれません。



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