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こんな大河ドラマを見たい! だから作って欲しい!

年代のかたより

源平、戦国、幕末維新に集中

ご存知のとおり、NHK大河ドラマの作品はある特定の時代に偏っています。
しかしこれは当然の話で、日本の歴史の中で特に面白いのはやはり激動の時代、取りも直さずドラマ性の高い3つの時代です。

1つ目は源氏と平家が覇を競いあう源平合戦、つまり平安後期から鎌倉幕府ができるまでの時代で、源義朝、平清盛、木曽義仲、源義経、弁慶、源頼朝らが活躍しています。
2つ目は全国に戦国大名が割拠して領土の拡大と覇権を求めて戦を繰り返す戦国時代で、武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの多くの武将が活躍します。
3つ目はは長い封建体制から中央集権制国家に変貌する過程で激しい内戦が起こった幕末維新の時代で、西郷隆盛、坂本龍馬、大久保利通、勝海舟など多くの偉人が登場しています。

日本人に「過去の歴史で面白いと思うのはどの時代か」と質問すれば、必ずと言っていいほどこの3つの時代が答えとし返ってくるはずです。
面白いというのはドラマ化して視聴率が取れる時代なわけで、常に高視聴率を目指す大河ドラマがこの3つの時代を取り上げるのは理の当然です。
しかし、余りにも偏りすぎているきらいがあるのも事実です。
それは下の表を見ていただければ、よく分かると思います。

これは大河ドラマ各作品毎の時代背景(期間)を古い順から並べたものです。 大河ドラマの時代背景(期間)
源平時代
「炎立つ(1993年放送)」は奥州藤原氏を中心にした物語ですがやはり源平合戦が最大の見所ですし、「新・平家物語(1972年放送)」、「平清盛(2012年放送)」、「草燃える(1979年放送)」、「源義経(1966年放送)」、「義経(2005年放送)」とこれまでに6作品が放送されました。

大河ドラマ 源平時代 源氏と平氏が分かれて争った華々しい合戦時代


戦国時代
戦国時代にいたっては、「国盗り物語(1973年放送)」から始まって、「毛利元就(1997年放送)」、「風林火山(2007年放送)」、「武田信玄(1988年放送)」、「天と地と(1969年放送)」、「信長(1992年放送)」、「おんな城主 直虎(2017年放送)」、「太閤記(1965年放送)」、「秀吉(1996年放送)」、「利家とまつ(2002年放送)」、「徳川家康(1983年放送)」、「功名が辻(2006年放送)」、「おんな太閤記(1981年放送)」、「軍師官兵衛(2014年放送)」、「黄金の日日(1978年放送)」、「天地人(2009年放送)」、「独眼竜政宗(1987年放送)」、「真田丸(2016年放送)」、「春の坂道(1971年放送)」、「江 姫たちの戦国(2011年放送)」、「春日局(1989年放送)」、「武蔵(2003年放送)」、「葵 徳川三代(2000年放送)」、「琉球の風(1993年放送)」と実に24作品が作成されました。

大河ドラマ 戦国時代 各地に群雄が割拠して天下の覇権を争った戦国時代


幕末・維新
そして、幕末維新は、「花の生涯(1963年放送)」から、「勝海舟(1974年放送)」、「花神(1977年放送)」、「翔ぶが如く(1990年放送)」、「西郷どん(2018年放送)」、「新選組!(2004年放送)」、「篤姫(2008年放送)」、「龍馬伝(2010年放送)」、「竜馬がゆく(1968年放送)」、「徳川慶喜(1998年放送)」、「三姉妹(1967年放送)」、「花燃ゆ(2015年放送)」、「八重の桜(2013年放送)」、「獅子の時代(1980年放送)」の14作品が放映されてきました。

大河ドラマ 幕末明治維新時代 日本の最後の内戦が繰り広げられた幕末・維新


つまり、この合計してたかだか300年くらいの時代に大河ドラマ全体の4分の3が集中しているわけです。
源義経、豊臣秀吉、坂本龍馬についてはまったく同じ人物の生涯を題材にして二つも制作されていますし、秀吉などは戦国時代の作品に必ず登場することになりますので、実に多くの俳優が同じ人物を演じてきたことになります。
こうなってくると、流石に見る方も飽きて来る上に、頭の中で映像が重複混乱してきて自分なりの人物像が描けなくなって来ます。テレビドラマというものは物語の人物像を鮮明に映像化することによって視聴者を物語中に同化没入させうることが最大の特徴だと思うのですが、あまりに多くの(別な俳優による)人物像を送られ続けてきたせいで、例えば秀吉などは却って人物像が希薄になってしまったように思います。
私は今でも小説を読んでいて平将門がでてくれば加藤剛の顔が浮かび、呂宋助左衛門ときけば松本幸四郎の顔が浮かんでくるわけですが、秀吉と聞いて頭の中に(緒形拳なのか竹中直人なのか香川照之なのか笹野高史なのか等々)誰の顔も浮かんで来ないわけです。こういう人物像の希薄化は、大河ドラマが余りにも同じ時代同じ人物に偏り過ぎた一つの弊害だと言って良いと思います。

もう一つの弊害は、同じ題材を異なる人間(つまり作家とか脚本家とか演出家など)が描こうとすると、どうしても前作との違いを強調したいが為にストーリーや映像、音楽、ナレーションなどをいじり過ぎて全体としてのバランスが崩れてしまうことです。同じ作品を作っても仕方がないのでこれはこれで止む得ない面もあるのですが、無理やり史実を捻じ曲げたり、これまでのイメージと全くかけ離れた俳優を起用したりして却ってストーリーをぶち壊してしまった例が少なからずあります。歴代最低視聴率の「平清盛」がまさにこのパターンで、これまでの悪人イメージではなくヒーローとして描くだけにしておけば良かったのですが、それ以外にいろんな大河らしからぬ手法(汚い映像や衣装との批判がありましたね)を使いすぎて失敗してしまいました。



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