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こんな大河ドラマを見たい! だから作って欲しい!

年代のかたより

推薦テーマ(第三空白期・江戸時代中期)

大河ドラマ第三空白期はまさに江戸時代の真っただ中のことです。

徳川300年の安定政権がつづいたおかげで社会的な大変動がありません。そこで大河ドラマで取り上げてもあまり面白くない時代ということで定番の忠臣蔵を除いては2作しか放映されてきませんでした。

しかし社会が比較的安定していたおかげで絢爛たる江戸文化が花開いた時代でもあったのですが、文化的な題材というのは誰もが興味を持つものではないだけに大河で取り上げるのが難しかったのだと思います。
北斎や広重の浮世絵などは素晴らしい芸術だとは思いますが物語にするには少し迫力にかけますよね。
そこで映像化して面白い、しかもストーリー性が高い題材をいくつ推薦してみたいと思います。

1:伊能忠敬
日本全国の測量地図を初めて完成させた人として有名ですが、ただ日本全国を歩いて測量したというだけではなく、感嘆すべき二つのポイントがあります。

一つは、その地図の精度が現在の地図と比べてもほとんど差がないほど高精度であったこと、つまり彼が持っていた測量技術がそこまでハイレベルだったという点。
もう一つは、普通ならご隠居さんとして余生を楽しむ年代(55歳を過ぎて)から測量事業を初めたほどの精神的な若さを持っていた点です。
しかも本当に地図を必要としていた幕府は測量許可は与えたものの資金は出さなかったので、忠敬は私財を投じて測量を続けたというのですから本当に偉い人ですね。
幼少期から成人して名主として活躍する前半生と、隠居してから測量を学び始めてから事業を成し遂げるまでの後半生。シーボルト事件をはじめとして実にいろいろなエピソードが残っているので格好の大河ドラマ向き題材でもあります。

井上ひさし原作「「四千万歩の男」は2001年に正月時代劇としてNHKがドラマ化していますが、是非大河として扱ってほしいものです。
大河ドラマの題名はすなおに「伊能忠敬」で良いと思います。

伊能忠敬 隠居の身となってから始めた大事業


2:上杉鷹山
今でも経営不振に陥った企業の財政立て直しに関するバイブル的扱いを受けているほど米沢藩上杉家の財政建て直しに貢献した江戸中期の名君です。

財政的に破綻寸前であった米沢藩を徹底した倹約による緊縮財政で蘇らせたり、天明の大飢饉の際に非常食の備蓄により多くの被災者を救済するなど、その名君ぶりを余すところなく発揮した人生は現代人にも感銘を与えます。

鷹山が家督を譲る際に残した心得【伝国の辞】にある「国家人民の為に立たる君にて君の為に立たる国家人民にはこれ無く候」という文面は、国民主権の憲法に慣れた今でこそ当たり前に感じますが、封建社会の真っただ中にいるお殿様の言葉とはとても思われません。まさに明治維新を先取りした考え方には本当に頭が下がりますね。

藤沢周平の「漆の実のみのる国」を原作にしてドラマ化して欲しいと思います。
大河ドラマの題名は「漆の実のみのる国」で決まり。

上杉鷹山 知る人ぞ知る江戸時代の名君


3:華岡青洲
日本で初めて(一説には世界で初めて)全身麻酔による外科手術を行った医師ということになっていますので現在の麻酔医の草分け的存在ですね。

麻酔効果があるいろいろな薬草を調合して麻酔薬を作り上げたが、それが動物実験までで本当に人間に効果があるかどうかで行き詰まり、結局は自分の母親と妻の二人の犠牲(人体実験)の上に完成させたと言われています。

実母が死亡、妻が失明というこの悲劇を元に小説化した有吉佐和子の「華岡青洲の妻」はベストセラーとなり舞台やテレビでも幾度か取り上げられてきました。
しかし、多くの人はまだその名さえ聞いたことがないでしょうから、是非大河ドラマで取り上げてほしいものだと思います。
大河ドラマの題名は有名な「華岡青洲の妻」の方が良いでしょう。

麻酔に用いるトリカブト トリカブトなどから麻酔薬をつくった華岡青洲


4:間宮林蔵
日本地図にその名を残す江戸時代の探検家。

幕府の御庭番だったようですが、蝦夷地から樺太方面の調査を命じられて樺太を北上し、ついに樺太がユーラシア大陸の半島ではなく島であることを発見して、間宮海峡として地図にその名を留めています。蝦夷地の調査時には伊能忠敬に遭遇して測量術を伝授されたようで、以降忠敬の代わりに蝦夷地の測量も受け持った場所があるようです。

間宮が探検して「大日本国国境」の標柱を立てた樺太は、その後1855年の日露和親条約に於いて国境を定めない日露混在地とされ、1874年に千島樺太交換条約によりロシア領となり、ポーツマス条約により南樺太のみが日本領となり、サンフランシスコ講和条約により日本は領有権を放棄して今に至ります。

吉村昭の小説「間宮林蔵」を原作としておもしろい脚本ができるのでは無いでしょうか。
大河ドラマの題名は「間宮林蔵」で決まり。

間宮林蔵 間宮海峡にその名を残した探検家


5:田沼意次
父親は紀州の足軽だったようで、意次もわずか600石の旗本から5万7,000石の大名にまで昇進し、一時は幕府の権勢を恣にしたという、江戸時代にも稀に見る大政治家です。ただし、財政改善の為に推進した資本主義化によって景気は改善したものの町人・役人の生活が金銭中心となり贈収賄が横行するようになった為に、後世「賄賂政治家」のレッテルが貼られるようになりました。

その後「寛政の改革」を行った松平定信との対比で流行した以下の落首はあまりにも有名です。
「白河の 清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」

意次の出世物語や政治経済改革も面白いのですが、平賀源内(実在の発明家)や秋山小兵衛(架空の剣客)などとの付き合いもあり話題にはこまらないでしょう。
最終的には権勢の頂点から一挙に失脚するわけですが、そのあたりも含めてどうしても田中角栄に人物像が重なって仕方がありません。

山本周五郎の「栄花物語」を元に、池波正太郎の「剣客商売」で少しアレンジして面白い脚本ができることを願います。
大河ドラマの題名は「田沼恋しき」でどうでしょう。

田沼意次 賄賂政治家として不当に悪役呼ばわりされた意次




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