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こんな大河ドラマを見たい! だから作って欲しい!

年代のかたより

推薦テーマ(第一空白期・飛鳥、奈良、平安時代)

大河ドラマの第一空白期とは日本の歴史が始まってから源平合戦に至るまでの時期をいいます。

歴史の始まりからということですから、例えばスサノオのオロチ退治やヤマトタケルの遠征でもいいのですが、さすがに神話時代の話となるとリアリティーが無いし、邪馬台国の卑弥呼あたりに至っても現存資料が殆ど無い上に関連エピソードも少ないわけで大河を構成するには少し物足りません。

となると早くても飛鳥時代からというのが妥当かと思います。
飛鳥時代の大きな政変劇というと誰もが「大化の改新」を思い浮かべるのではないでしょうか。中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿を暗殺する乙巳の変を中心とする壮大なドラマは取り上げて欲しいテーマの一つですが、NHKで2005年に古代史ドラマスペシャルとして一度放送しているので、ここでは敢えてこれを外しています。
しかし、それを外したとしても推薦したいものは山ほどありますので以下順に列挙してまいります。

1:酒人内親王 (桓武天皇妃)
この酒人内親王自身はあまり有名ではありませんが、「啼くよ(794)ウグイス平安京」で有名な桓武天皇の妃です。

この人物を推す理由の第一は、平安京遷都という歴史の大きな変わり目にあって妃という身近な立場で桓武天皇を見ることが出来た点です。つまり渡来系の母を持ち歴代天皇のなかでも非常に優れた治世を行った桓武天皇の伝記ドラマとしても描けるわけですね。

次に、日本後記に「容貌殊麗柔質窈窕」と書かれているようにとても美しい人だったこと。これはやはりドラマのヒロインには欠かせない条件ですね。
そして光仁天皇の皇女であり若き日に伊勢神宮の斎王を経験していること。斎王とは天皇に代わって伊勢神宮に奉仕する独身の皇女のことですが源平合戦以降は無くなるのであまり知られていません。しかしこの斎王の生活そのものが非常に興味をそそる内容ですのでこの斎王時代だけでもかなり放送回数が稼げると思います。

そして母井上内親王と弟他戸親王の呪詛事件もありますし、いまでは恒例となった東大寺の万灯会を初めて開催した人としても有名で、この万灯会だけでも素晴らしい映像が作り出せそうです。

藻里良子著「美貌の斎王―桓武妃酒人内親王」を元にドラマ化すれば中々面白い作品になると思います。
大河ドラマの題名は「美貌の斎王」で決まり。

美貌の斎王 伊勢神宮の斎王でもあった桓武妃酒人内親王


2:源頼光 坂田金時 酒呑童子
日本人の誰もが知っている金太郎(坂田金時)やその主人である源頼光(及び渡辺綱などの四天皇)の活躍を描いた大河ドラマはどうでしょうか。

熊と相撲を取ったという足柄山の金太郎伝説
有名な大江山の酒呑童子退治や頼光の土蜘蛛退治
渡辺綱が鬼の腕を切り落とした一条戻り橋の話
等々面白いエピソードには事欠かないとおもいます。

実写版にするとドギツくなりすぎますので適度にCGやアニメを使ったりしながら現代版御伽草子として作り上げたら近年稀に見るユニークな大河ドラマが出来上がるのではないでしょうか。
大江山の酒呑童子だけでもその生い立ち(母の胎内に16ヶ月いたとか)や鬼になった経緯とかでかなり放送回数を稼げますし、なぜ鬼と呼ばれる集団ができたのかを時代背景とともに彫り込んでもよいでしょう。
酒呑童子討伐のきっかけとなった占いの場面では、若い女性に人気のある安倍晴明も登場させることができますので前半の視聴率も上がるでしょう。

ヒロインは酒呑童子にさらわれて洗濯女にされていた公家の姫君で、やはり最後は金時と結ばれてほしいものです。
大河ドラマの題名は「酒呑童子」で決まり。

酒呑童子が住んでいた大江山 酒呑童子が住んでいたという大江山が舞台に


3: 額田女王 (天武天皇妃)
額田女王(または額田王)は日本古代史最大の内乱である壬申の乱を舞台に、天智天皇、天武天皇兄弟との三角関係をなしたと言われる絶世の美女です。

とにかく壬申の乱そのものが天智天皇の子供である大友皇子と天智天皇の弟である大海人皇子(天武天皇)の当時の日本を二分した皇位継承争いなので、そのきっかけや当初の勝敗、吉野山に逃げ込んだ大海人皇子とその後の反撃など見どころはいくらでもありますから演出には困らないでしょう。

それに、天智天皇はもちろん大化の改新の主役(当時は中大兄皇子)なので蘇我入鹿暗殺事件も扱えるし、朝鮮に出兵した白村江の戦いも扱えます。そして何よりも兄弟を相手にした和歌を交えてのロマンスはちょっとしたメロドラマ風でもあります。

壬申の乱や額田女王を扱った小説も数多くありますので原作探しにも脚本にも困ることは無いでしょうが、わたしはやはり井上靖の「額田女王」を推します。
大河ドラマの題名は「額田女王」で決まり。

額田女王(天武天皇妃) 壬申の乱を舞台にロマンスの花がひらく


4:長屋王 (天武天皇孫)
天武天皇の孫であり元正天皇の妹である吉備内親王を妃としているという血統の良さ、そして類まれなる政治手腕で最高位の太政官まで登りつめ、天皇を補佐する第一人者として権勢をふるった長屋王は、藤原4兄弟の陰謀により一夜にして帰らぬ人となりました。

藤原鎌足から始まった藤原氏ですが、その後平安時代を中心に何百年もの間繁栄が続く、まさにその礎となった事件と言っても良いかもしれません。
濡れ衣を着せられた無念を抱いて妻子とともに死んでいった悲劇の宰相の一生はまさにドラマと言っても良いでしょう。

しかし、この事件だけだとせいぜい2夜連続放送の長編ドラマ程度で終わって、到底大河ドラマにはなりえません。そこにロマンスやサスペンスやリベンジ等を盛り込んで大河ドラマに耐える肉付けをする必要があります。
そのようにして作られた長編小説に杉本苑子の『穢土荘厳』があります。
是非、この小説を原作として長屋王事件を扱ってほしいものと思います。
大河ドラマの題名は「悲劇の宰相・長屋王」で決まり。

長屋王(天武天皇孫) 生駒山麓に眠る悲劇の皇孫長屋王の墓


5:菅原道真
実際に存在した人物でこれだけ多くの人に拝まれている人はいないでしょう。
御存知「天神さん」ですね。

受験シーズンともなれば全国到るところの天満宮には多くの受験生やその親御さんが願掛けに行きますし、初詣でも大賑わいです。童謡「通りゃんせ」でも有名ですから日本人のほとんどが知っている「天神さん」。

しかし、この天神さんが菅原道真だと知っている人はどれほどいるでしょうか。また、天神さんが菅原道真であり死後の祟りを恐れて作られたのが天満宮だということは知っていても、いったい道真とはどんな人だったのかを知る人は非常に少ないのでは無いでしょうか。
藤原時平との政争や太宰府への左遷、飛梅伝説、清涼殿落雷事件など物語として扱えるストーリーはたくさんありますので是非この人を題材にした大河ドラマを作ってほしいものだと思います。

道真をあつかった時代小説に、三田 誠広著「菅原道真見果てぬ夢」があります。
大河ドラマの題名は「飛梅・天神さま物語」で決まり。

菅原道真 菅原道真ゆかりの太宰府天満宮飛梅


6:藤原道長と清少納言
「この世をば わが世とぞ思ふ・・・」は平安期最大の権力者であった藤原道長ですが、「春はあけぼの・・」の枕草子で有名な清少納言はほぼ同時代の人です。それどころか恋仲だったという話さえあります。

道長の若い頃の剛毅な性格逸話や権力を掌握していく過程など、この人の伝記だけでも十分に面白いのですが、それと才女として名高い清少納言とをかけ合わせればいくらでも面白い脚本が書けそうです。第一、随筆である枕草子そのものが小ストーリー満載ですから一年間の長丁場にも十分堪えられることでしょう。

大河ドラマの題名は「春はあけぼの」で決まり。

藤原道長と清少納言 枕草子の作者として名高い清少納言のロマンス




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