スマートフォンやスマートウォッチなどの携帯端末はますます高機能化しており、使いこなせる向きには大変便利になってきています。
しかし、その分操作性はどんどん複雑になってきており、つまり多機能すぎる上に、初心者や子供や高齢者といった情報弱者にとってはだんだん扱いにくくなって来ているのも事実です。
例えば、小さな子供や高齢者がただ外出先から電話をかけるという行為にあれだけの機能が必要でしょうか。電源ボタンを押して、電話アプリを起動して、相手を選んで電話をかける、うまく行けば良いのですがその途中で間違って他のエリアをタップしようものなら何が何だか分からなくなる。
なにか良いガジェットはないものかと思っているときに見つけたのがこの4Gsim対応スマートウォッチホン《LEMFO LEC2 PRO》でした。
この製品の一番の特長は、この時計(スマートウォッチ)だけで電話が通じることです。つまり普通はスマートホンに入れて使うSIMカードをこの中に内蔵して単体で通信ができるということです。
この製品は基本的には「親が小さな子ども(小学生未満の幼児)に持たせて監視や連絡ができる」ように開発されています。ですから製品の外部デザインも時計フェイスも幼児用に作られています。
しかし、機能的には高齢者が使っても十分実用的な内容になっています。では、どんな事ができるのか具体例を挙げてみましょう。
どうでしょう。
1の電話だけなら普通のスマートフォンをもたせれば良いが、はじめに述べたように機能が多すぎるのと利用方法にも不安がありますね。
2の現在位置把握だけならGPSを使ったトラッキングサービスがありますが価格も高い。
3,4,5も大変便利なのですが、この機種で一番便利だなと思うのは5の長押し一発接続ボタンです。なんといっても腕時計のボタンを押すだけで特定の相手に電話をかけることができるのですから、これなら小さな子どもでも後期高齢者でも操作に戸惑うことはありません。
この製品の通信手段はSIMカードを使ったモバイルネットワーク以外にも、Wi-Fi、ブルートゥースなどがありますが、やはりSIMカード入れなくてはあまり意味はありませから、はじめにすることはSIMカードの挿入です。
中国製ガジェットには日本のような丁寧なマニュアルはついていませんので、ここで少しもたつきました。英語で「simを挿入する」ぐらいのことしか書いてないので、裏表や差し込み加減がよくわからなかったのです。
そこで、写真で少し解説することにします。
まずはSIM挿入口にあるビスを付属のドライバで外します。
次に挿入口の蓋を付属のピンセットで外します。(別に爪で引っ掻いてもいいですが)
そしてSIMカード(ナノSIMです)を写真の方向で差し込みます。
そして付属のプラスチック板で押し込みます。爪で押し込んでもなかなか奥までしっかり届きませんでしたのでこのプラ板は役に立ちます。
最後までしっかり挿入しないと起動したときに「SIMエラー」となりますので、このように奥まで押し込みます
このあと、右ボタンの長押しで時計を起動させます。
挿入したSIMが音声通話対応のものならば、もうこの段階で電話がつながるはずですので、他の電話からこのSIMの番号に電話をかけてみます。
写真のように受信画面が表示されて呼び出し音がなればオッケ~です。
次にすることはモバイルネットワークへの接続です。
時計フェイスから画面を右にスワイプするといろいろなメニューが現れますから、黄色の「Settings」メニューから「More」-「Mobile networks」-「APN」と入って、接続会社に合わせたAPN設定をします。
このあたりはスマートフォンの設定と同じことですが、とにかく入力するときにタッチする文字部分が小さいので指先で行うのは一苦労します。タッチペンがあると楽なんですが、指でもなんとか可能です。
私はDMMモバイルのSIMを使っているので、新しく「dmm」という設定ファイルを作りそれを選択しました。
これでモバイルネットワークへの接続が可能となります。
この時計(スマートウォッチ)をそれなりに使えるようにするには、親機(スマートフォン)に専用アプリ「Se Tracker」を入れて時計と連携させる必要があります。
そのためには、メニューの紫色「QR code」内の「AppCode」で表示されるバーコードをスマートフォンでスキャンしてインストールします。
そして、「Se Tracker」を開いて各種の設定をします。
はじめの設定で時計(スマートウォッチ)との連携のためにバーコードスキャンを求められますから、メニューの紫色「QR code」内の「RegCode」で表示されるものをスキャンします。これで連携が得られることになります。
「Se Tracker」のメイン画面は以下のようなものになります。いろいろさわってみればだいたいのことは判ります。
例えば、「MAP」をタッチすれば時計の位置が地図上に表示されるはずですが、ここで「時計がオフラインです」のようなエラーが出たら、多分APN設定が間違っていると思いますので時計に戻って修正します。
画面の右下のあたりにある「SETTINGS」で、いろいろな設定をすることができます。
この時計(スマートウォッチ)は子供用としてだけではもったいないような機能が備わっています。
カメラもアラームもあるしLINEだってできますから、ほとんど電話ぐらいしか使わない方ならスマートフォンよりも遥かに手軽なこの製品のほうが却って使い勝手は良いかもしれません。高齢者ならなおさらでしょう。
ただ、外観デザインがバンドも含めて迷彩色なので明らかに子供っぽいのが少し引っかかりますね。
そこで、バンドをシックな黒色のものに交換してみました。
着いているバンドは取付部の小さな穴に外側からピンを差し込んで押してやれば簡単に外れます。
バンド幅は約20ミリなので市販バンドでいろいろ取り替えてアレンジすることが可能です。
まあ、この程度なら大人が着けていてもそんなに恥ずかしくもないと思いますが、もし本体部分の迷彩色まで気になるようならプラモデル用の塗料で塗ってやっても良いかもしれません。
この時計(スマートウォッチ)の対応バンドは販売サイトによると以下のように書かれています。
WCDMA: B1/B2/B5/B8
FDD: B1/B2/B3/B4/B7/B8/B12/B20/B28A
私のDMMモバイル通話対応SIMではほとんど問題なく通信可能でしたが、たまに4G回線が遮断されることもあります。電波のつかみという点からいえば、もう一つ信頼できかねるところもあります。
外観はバンド交換や塗装でなんとかなるとしても、時計(ウォッチ)フェイスが子供向け主体なのが少し残念です。大人でも使えそうなのは一つしかありません。
技適マークはありませんので使える場所については自己責任で判断する必要があります。
本当は国内メーカーにもこういう製品を安く作りその使い方ももっとPRしてほしいところですが、スマートウォッチというとすぐに購買対象を新しい物好きの若者に限定してしまうのが開発できない要因なのでしょうか。