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運動について

一日一万歩で長生きできるのか

健康で長生きしたいと考えるのは誰もが同じと思います。
そのためには適度な運動が大切だということも誰もが知っています。
でも、適度の運動というのはどの程度のことなのか、これについては各人の体力や運動能力によってもまちまちなので、一概にはいいきることはできませんね。
しかし、これをハッキリ定量化してスローガン化したのが「一日一万歩運動」です。 具体的な目標値が定められて、しかも万歩計などで簡単に計測できるので、ノルマ達成意欲が強い日本人にはピッタリはまりました。
しかし、本当に一日一万歩で長生きできるのでしょうか。


たしかに歩数は長寿に関係があるが

もちろん、一日一万歩を継続していけば誰でも長生きできるわけではありません。この他に栄養面やストレスや生活環境など健康要因は数多くありますから。
ただ、他の健康要因が同じとしたら一日10,000万歩歩く人と一日5,000歩しか歩かない人ではどちらが長生きできるのかという話です。

こういうものは統計的手法を使って実験すればそれなりの結論がでるものですが、なにせ健康要因を同じにするというのは(その人間を一生拘束しない限り)土台無理な話である事と、余りに長期にわたる実験なので主宰する本人の寿命が先に来てしまう可能性が高いなど現実的ではありません。畢竟、後付で統計的推論を行ったものに頼らざるを得ません。

つまり、同じような生活環境(年代や居住地域を同一とするなど)で、長生きした群と短命で終わった群に分けて、それぞれが生前にどの程度の歩行距離があったのかを推測して比較する方法とか、ウォーキング同好会の会員とそれ以外に分けて数年後の肉体年齢を測定してその結果で推論する方法などです。

実際にそのような大まかな推論によると、やはり「毎日の歩数が多い人はその分長生きする」というのは概ね正しいのだそうです。

しかし、歩いた時間に比例して長生きするというわけではありません。
ちょっとわかりにくいので簡略化して話をすると次のようになります。
大人の歩幅が0.8mとすると一日10,000歩で8kmになります。
歩行速度は時速4kmと言われているので一日に約2時間歩くことになります。
それに対して、一日に5,000歩しか歩かない人は一日に1時間しか歩かないわけです。
歩行による長生き効果を推論すると、一日10,000歩の人は5,000歩の人よりも一日あたり10分だけ長生きするとのこと。 しかし、一日5,000歩の人は「1時間-10分=50分」だけ他の事に時間を使えるというわけです。

まあ、こんなに厳密な数字が出てはいませんが、ナルホドという話ではあります。
一日一万歩歩けば確かに長生きはするが、その分だけ歩くことに人生を費やしているということですね。
歩くことが楽しい人には願ったり叶ったりのウォーキングも、健康のためにいやいや歩いている人にはさしてメリットが無いというお話です。


健康にもなるが病になることも

しかし、「歩くことは長寿だけではなく健康に役に立つわけだから、それだけでも価値がある」という意見もあります。
確かにそうですね、健康で元気に生活できるのと病がちでも長生きするのでは人生の質が大きく違います。

でも、10,000歩の人と5,000歩の人では健康に関する面では有意差は出ていないのです。というか、先程述べたような統計的推論ではそこまでの考察ができないのです。

本当に厳密な実験ができたら、ひょっとしたら一日5,000歩の人の方が健康という結果が出るかもしれません。また、その逆かもしれません。 しかし、歩けば歩くほど健康になるかは不確かですが、歩けば歩くほど疲弊していく部位があることは確かでしょう。
よく野球選手(特にピッチャー)の肩は消耗品だと言われていますが、肩だけではなく人間の体は基本的に全て消耗品です。使わなければどんどん衰えていく筋肉や脳細胞のようなものもありますが、軟骨のようにすり減ってくいくだけのもののほうが多いのです。
健康のためにと思ってやりすぎて却って病になるような運動もあります。競技としての運動なら(各種のスポーツ病のように)それも仕方が無いことですが、健康になるのを目的にする運動ではナンセンスですね。

元々はっきりした根拠のない「一日一万歩」を目的にするのではなく、自分の体力や生活に見合った歩数を見つけるようにしたいものです。


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