ついに ついに
ついに行ってきた
ぼくのご先祖さんの墓参り
あの遠州見附宿で 毎年毎年若い娘たちを喰い物にした化物が
「信州信濃の光前寺 早太郎には知らせるな」
と この世で最も怖れ慄いた霊犬早太郎(ぼくのご先祖さん)
そのご先祖さんが生まれて育ち そして眠る 光前寺
長い間 いつか訪れてみたいと思っていたその地に ついに足を踏み入れた
(霊犬早太郎についてはぼくのHP内の早太郎伝説ページを見てね)
樹齢何百年にもなる杉の高木に囲まれて なんとも荘厳な空間
本堂の床にぬかづき(ま いつもそうなんだけどね)お線香を上げ ワンと高く吠えた
ちょっとお坊さんに睨まれたけど そんなの関係ねえ(え!もう流行ってないの?)
だって このお寺はぼくのご先祖さんのおかげで繁盛してるんだもんね
とにかく至る所に「早太郎」の看板やノボリがいっぱい
本堂の脇にだって おおきな木像が 「ドヤ!」って感じで座ってる
お守りからお土産品に至るまで オール「早太郎」漬け
ここならワンを一回どころか百回、千回と吠えまくったって文句を言われる筋合いはない
でも そんなに吠える必要もないし お腹も減るので それは止めておいて
肝心のお墓を探すことにした
さぞかし立派な墓に違いない
いつぞや 定光寺の尾張徳川家の墓(廟)を見たけど
幾つもの門を通ってやっとたどり着いたら大きな建物の中に納まっていたっけ
あんな感じかなあ
まあそこまではいかなくても 雨風を凌ぐお堂の中に金箔を貼って安置されてるかも
と ところが・・・(言葉が続かない)
これが かの霊犬早太郎(ぼくのご先祖さん)の墓
えっ ちっちゃいな〜 と思うでしょ? 皆さんも
石柵はそこそこなのに お墓がちっちゃい
周りには もっともっと大きいお墓がゴロゴロしてるのに
鏡餅みたいな石が
三つ四つ二つ三つなど重なりあうのもあはれなり
って感じ
その前にチョコンと置いてるのは なんだアレ!
可愛い 早太郎の石像
ヨシヨシ かわいいから 許してやろう
だけどあの偉大なご先祖様でさえ この程度のお墓と言うことは
ぼくの墓なんて
多分こんなもんなんだろうな
なんとも複雑な気持ちで ぼくは墓にお参りをした
勿論 般若心経なんて唱えないよ
当然
「ご先祖様 元気にしてる?
多分極楽に行ってると思うけど しっかり楽しんでね
お墓がちっちゃいんで文句があるかも知れないけど
お寺の人も賽銭の使い道はほかにあるんで 我慢してね
ぼくのお墓なんて きっともっとちっちゃいんだから
いずれにしても ぼく達のこと ちゃんと見守っていてね」
とね
この最後のところで「ぼく達」っていうのがスゴイでしょ?
普通の犬だっったらここは「ぼく」で済ますところだけど
広く万民を救済せんとする博愛精神
これぞ霊犬早太郎の末裔たるぼくの真骨頂!(テヘヘッ)
この後 三重塔を見て帰ろうとしたら
なんとそこには! (お寺の人 ゴメンナサイ)
お寺の人を賽銭ドロボウかの如くツイートしたぼく
ゴメンナサイ
こんな立派な石像を建ててくれてたなんて 知らなかったもん
じゃ〜ん
三重塔を後ろに従えて 堂々と 天に向かって お座り している
カッコいい〜
ご尊顔をもう少しアップで見ると
え〜っ 左側からも見たいって?
しょうがないなぁ〜
じゃあ
なになに もっとアップで見たいって?
じゃあ これでどう
満足してくれた?
ぼくも満足
やっぱりぼくにそっくりだ
本堂の脇に座ってた木像よりも ぼくはこっちが好き
どうしてって?
ぼくに似てるもん
とんがった耳 四頭身(ぼくはもうちょっとカッコいいけど)
鋭い眼光 黒い鼻 上手なお座り
どう 似てるでしょ?
ちなみに「本堂の脇に座ってた木像」ってのは右のやつ
そして この石像の右手に同時に建てられたとみられる石碑がある
読める? 読めないよね
ということで ぼくがこの碑文を書き写したものをご披露しちゃおう
つまり こういう事が書かれている
霊犬早太郎由来記
早太郎は別にへいぼう太郎の名に呼ばれ光前寺に成長して性甚だ精悍怜悧であった
今から六百五十年前の或日遠州見付天神社の社僧弁存が寺門を尋ね請うて云うに
当社に人身御供の神事があり妙齢の婦女を犠牲にし従わざれば忽ち災厄身に及ぶを以って里村のもの悉く恐怖す
一夜密かに社殿に窺えば将たして一怪物現れ信州光前寺へいぼう太郎に知らせるなと口吟みつつ踊り嚴に早太郎を恐れ警戒す
希くば往きてこれを退治し里民の難を救わんことを望む
早太郎勇躍して見付に至り即ち自ら白木の櫃に入り人身御供とし社殿に運ばる
夜更けて怪物現われ櫃を破る
早太郎躍り出で激闘数時遂いにこれを殲す
夜明けて里人大挙して至り見るに庭前惨とし白毛を生したる年古るき狒々の残骸が横たわって居た
斯くて早太郎は天龍山谷を一気に長駆して帰ると傳えらる
昭和三十二年四月 光前寺第三十八世大僧都 道宣書
(ふりがな付きはこちらを)
霊犬早太郎が怪物退治をして光前寺に戻って息絶えたのは1308年と言われているんで
この石碑が建てられた昭和32年(1957年)頃には多分650年祭などがあったんだろう
ま そんなことで ご先祖さんは昭和32年に機嫌を直し
ぼくも ここで機嫌を直した
ご機嫌になったぼくは お守り販売コーナーに向かうことにした
そこで いやはや なんとも可愛いやつに出会うことになる
ご機嫌になったぼくが見たのはこれ!
早太郎おみくじ
可愛い!
こいつら こんなに行儀よく並んじゃって
「ぼくが大吉だよ〜」ってな顔しちゃってさ
どれもおんなじ顔をしてるようだけど
実は 吉のやつと凶のやつは形を少し違えてある
それは何故かというとですな〜(少しおじさんくさいかな)
体の中におみくじが入れてあるんだけど
おみくじというのはある程度吉凶の分布を一定に分散しなくちゃいけない
紛らわしい言い方だけど
吉凶の出現頻度を一定に保つ
例えば 大吉20%、吉30%、小吉20%、末吉20%、凶8%、大凶2% とかね
そうしないと
「あそこのおみくじは何度やっても末吉ばっかり」
「そうそう うちも家族で3人とも末吉だったよ」
「でしょ! 決まりきったおみくじなんて もう買わない!」
ってことになっちゃうわけ
それから分散というのは くじを良くかき混ぜておくこと
そうしないと
「おみやげにするから10個ほど頂戴」
と言われて売店の人が隣り合ったものをまとめて包んでくれるとする
で もらった人はみんな凶という事になり
「あの奥さん きっと私たちのことを呪ってるんだわ!」
と 大変なことになりかねない
で もとに戻って
形を少し変えておけば あのように並べて置く場合にも
一定の比率でバラバラに並べることが出来る
凶がひとつ減ったら すかさず凶を補充できると云うわけ
10個買ったおばさんにも怒られずに済む
ということで もう一度さっきの写真をみて
違いが分かるかな?
分かった人もあれば いくら見ても分からない人もいるでしょう
ぼくは分からなかった
ま 「形を変えてある」ってのはぼくの想像
やっぱ 形を変えたり吉凶の配置を管理するなんて大変だもんね
無駄な時間を使わせて ゴメンナサイ
でも自分が暗示にかかり易いかどうかは分かったでしょ(^o^)v
早太郎おみくじが全く同型で作られているか
はたまた 少し違えて作られているかについては
光前寺サイドの公式見解をまつことにして
あのおみくじ野郎をもう少しアップして見せて欲しいという
多くの方からリクエスト(多分あると思う)にお応えし
あいつの写真をもう一度
ハイ
ほんとはねえ 耳が立ってるはずなんだけど
体ももっと精悍なんだけど
目はもっとキリッとしてるんだけど
それに口の周りの白いひげ(のようなやつ)は無いほうがいいんだけど
と注文を言えばキリないけど
「わあ 可愛い」と言って欲しくてこうなったんだろう
そして 確かに可愛い
ぼくも もうちょっと可愛くなろかな・・・
早太郎おみくじは 結局 吉 だった
おみくじ幸運順序でいくと
吉は 大吉の下だけと中吉よりも上 という説と
中吉と小吉の間 という説と
中吉や小吉よりも下で末吉の上 という説等諸説紛々
だから小吉と吉をそれぞれ引いた兄弟が どっちが上だと 喧嘩することになる
ぼくに謂わせれば
吉というものの中に「大、中、小、末」等の序列があるんだから
吉を大吉や小吉と同列にしてはいけないと思うわけ
よって今後は おみくじ法を制定して
「おみくじは大吉、中吉、小吉、末吉、小凶、大凶の6つに分類せり」
「販売にあたっては 項目を減ずることは可とするが 新規項目を加えること能わず」
「本法に違反せしものは 即刻早太郎にステーキを献上すべし」
と明確に定義してもらいたい
(これは何としても次期国会で与野党協力して成立させて欲しい)
なんか 考えるだけで よだれが垂れそうになってきたけど
この後「名勝 光前寺庭園」に行く事にした
さあ 門にはいろうとすると 左手に入園料を記す看板を発見
大人500円 子供200円
犬は?
当然無料だろうということで コソコソと前の人について行く
坊の内部にはいろんな仏像やら 早太郎の大きな人形なんかが展示されてるけど
写真撮影は禁止なので紹介出来ないのが残念
庭園は一部で紅葉が始まっていて とっても綺麗
11月も末にでもなれば さぞや見事なことだろうと
縁側に腰をおろして(というわけにもいかないので縁側の前にお座りして)
ここで一句
うえこみが おはぎにみえる こうぜんじ
帰りがけに 入園料を払った人にだけ 茶菓の接待がある
こんな感じね
ま ここではぼくは 見てるだけ~ なんだけど
あの湯のみはお土産でもらえるらしい
勿論 「タダには弱い日本人」は みんな袋にしまいこんでお持ち帰りとなる
ぼくも欲しかったので コッソリひとつ咥えて お持ち帰り(ネコババとは言わない)
なぜ 欲しかったのかって?
だって こんな絵が書いてあるんだよ
三重塔の前の石像はお座りしてたけど こっちは立ち姿 巻き尾が凛々しい
ここでも ぼくは満足した
いろいろあった光前寺 また桜の時にでも来てみたいな
それまで ご先祖さん お願いした事 ヨロシクネ
光前寺からの帰り際
「これだけは絶対に買って帰るぞ」と心に決めていたある物を購入
それは あの早太郎おみくじなんかより もっとイイもの
しかも 光前寺横のお土産物屋さんで売っていないもの
よだれが垂れちゃうもの
じゃ〜ん
霊犬早太郎最中 (12個入り 1,870円)
そんじょそこらの最中とは 最中がちがう
なにが違うって 名前が違う
なってったって 早太郎の名前が付いている
というよりも ホントに美味しい
(ぼくのご主人が昔から大好きだったと云うんだから間違いない)
じゃあ どんなものかというと こんなもの
早太郎の名前と 姿が刻印?されている
真ん中で 2つに折れるようになってるわけ
普通の最中よりかなり大きいんで 二つに割って調度いいくらい
じゃあ ふたつに割っちゃいましょう
どう 美味しそうでしょ
食べたくなっちゃうでしょ
(光前寺庭園の茶菓接待でもこいつを出してくれれば良かったのに
そうすると入場料500円じゃあ ちょっと苦しいか?
じゃあオプション料金100円アップでもいいけど)
ここで すぐに喰いついてはいけない
まずは 美味しいお茶を用意してからね
用意できたら ふところから懐紙を取り出し おもむろに一片をのせる
最中に向かって一礼して イタダキマス
パクッ
って感じ
アレッ 中にお餅が入っている
そうなんです 正確には「求肥」って言うらしいけど あんこの中にお餅が
ちっちゃいお餅なんで あんまり邪魔にもならない
これがあんこと うま〜くコラボレーションしてバッチグー!
(興奮して横文字多発)
ん! でもこのフレーズって結構いいんじゃない
「うま〜くコラボレーションしてバッチグー!」 今年の流行語大賞はコレで決まりかも
早太郎最中の新しいキャッチコピーは
あんことお餅がうま〜くコラボレーションしてバッチグー!
嗚呼 美味しかった
ところで 早太郎最中は 三種類あるんだよ
胡桃を練り込んだ漉し餡(茶色)・・・これが今食べたやつね
胡麻を練り込んだ漉し餡(紅色)
抹茶風味の白餡(白色)
じゃあ最後にお店のご紹介をしちゃいましょう
(いつまでも ぼくの名前の最中がなくなりませんように チ〜ン)
長野県駒ヶ根市上穂栄町三番五号
御菓子司 生月
ホームページからも注文できます
日本の3大随筆って知ってる?
方丈記と徒然草と枕草子なんだってさ。
犬の小学校で習ったかな?
で、随筆って何かというと、
とにかくなんでもいいんで、
ダラダラ書いたやつらしい。
それなら・・
てな訳で書いたのがコレ。
細かいことは気にしないでね。
なんてったって犬だから・・
じゃあね ワンワン!