信州信濃の光前寺にいた霊犬早太郎が、遠州見付で人身御供にされそうになっている娘を助けるために悪い怪物をやっつけるという物語。
光前寺に伝わる伝承や信州各地に伝わる民話など、それぞれ細部に違いはあるものの概ね話の内容は一致しています。
遠州見付天神に伝わる上記「早太郎伝説」を助けてもらった側からみた物語。
早太郎はこちら側では「悉平太郎(しっぺいたろう)」と呼ばれていますが、内容はほぼ同じです。傷ついた悉平太郎が光前寺まで帰ってから亡くなったか、この地で息を引き取ったか、帰る途中で力尽きたかなど、細かい部分では相違のある言い伝えも残されています。
強い犬が生贄にされそうな娘を怪物から助けるという伝説は、日本の各地に残されています。 犬の名前や場所や退治した怪物の正体など、各物語毎に同じもの有り、違うもの有りという状態です。言ってみれば「伝言ゲーム」のように、話が人から人へ伝わっていく過程で少しずつ変化していった結果のように思えます。元となった物語が早太郎伝説なのか、あるいはその逆なのか、はたまた大元の物語から派生して行ったのか・・・
早太郎伝説がいろいろな話が元となって作り上げられた架空の物語なのか、本当にあった物語なのかはさておき、古くから似たようなモチーフの物語はあります。
早太郎伝説の基本となるモチーフは次の3点です。
1:犬が怪物を退治する
2:怪物に人身御供を差し出す
3:怪物が自分の弱点を自ら洩らしてしまう
このうち一つでも含まれている物語があれば、「それらを組み合わせて早太郎伝説が作られたのでは」と考える事も許されるのでは。