台風に強い建築構造は
最近は台風被害というと強風よりも大雨によるものが多いようで、特にがけ崩れなどの土砂災害や堤防の決壊による浸水被害などが目立ちます。こういう大雨による被害については(家づくりの段階では)建築構造というよりも立地の問題が主となりますので、ここでは特に強風についてに考えることにします。
先程、「最近は」と申し上げましたが、たしかに最近は強力な風をともなう台風が少なくなりました。昭和20年から40年ごろにかけてはかなり大型な台風が続いて日本を襲いました。
枕崎台風(昭和20年)、ルース台風(昭和26年)、洞爺丸台風(昭和29年)、伊勢湾台風(昭和34年)、第2室戸台風(昭和36年)などは未だに忘れられない記憶を多くの人に残しています。
中でも第2室戸台風は上陸時の中心気圧が925ヘクトパスカル、最大風速が66m/s、最大瞬間風速が84.5m/sという巨大台風でした。
最近は沖縄方面を除けば風速50m/s以上の強風に見舞われることが殆ど無いので、あまり風に対する備えを気にする人も少なくなりましたが、昔の台風を覚えている方はいまだに家造りにおいても台風対策は重点項目に挙げられます。
過去の巨大台風を知らない方でも、風速30m/sを超えると樹木や家屋が倒壊する危険がある事を知れば、万一第2室戸台風が自分の地域を襲ったらと考えれば、それに対する備えの必要性がわかるかと思います。
さて、童話「三匹の子ぶた」でワラで作った家が狼のひと息で吹き飛ばされたのに対しレンガ造りの家はびくともしなかったというのはご存知のとおりです。
この童話が示すように、台風に強い、強風に強い家となればやはり「重い家」ということになります。
重ければ重いほど風に飛ばされなくなることは経験的にも皆さんご承知のことと思います。
となれば構造的に有利なのはやはり重い構造体であるコンクリートやレンガやブロック、石などを用いた構造であり、一般住宅でよく使われる構造でいえば「鉄筋コンクリート造」が一番という事になります。
なにせ構造体そのものが重いのと、床、壁、屋根などが構造的に一体化(他の構造は基本的に各部材を結合させて成り立っています)されていますので、風に飛ばされる心配はほとんどないといえます。もちろん窓やドアなどの開口部材や仕上材などが強風に耐えられるかどうかという問題はありますが、それはどの構造にとっても同じことですので、「台風に強い家を作りたいがどの構造が一番おすすめか」と問われれば間違いなく鉄筋コンクリート造をおすすめします。
現場打ちの鉄筋コンクリート住宅は量産化できない
現場で型枠を組んで鉄筋を入れコンクリートを流し込んで作る本格的な鉄筋コンクリート造は量産化することが出来ないので大手のハウスメーカーというものはありません。そういう住宅を希望するならゼネコンや地場工務店に依頼することになります。しかし鉄筋コンクリートパネルを工場で制作して現場で組み立てるプレハブ式ならいくつかのハウスメーカーありますので、ここではそのうちの2つを紹介します。