台風の風向きに合わせた防風対策
台風の風に対する対策の仕方はいろいろありますが、建物全ての方向に対して同じような対策を取る必要はありません。
台風における風の方向や強さには偏りがありますので、それに合わせて対策の軽重を決めるほうが合理的です。
では偏りとはどんなものでしょう。
すでに経験的に多くの方がご存知かと思いますが、日本列島を襲う台風の多くは東南方向からの風が最も強くなります。
これについては、気象庁ホームページ「台風に伴う風の特性」をご覧いただくとよくわかります。
その一部を抜粋引用しますと
進行方向に向かって右の半円では、台風自身の風と台風を移動させる周りの風が同じ方向に吹くため風が強くなります。逆に左の半円では台風自身の風が逆になるので、右の半円に比べると風速がいくぶん小さくなります。
(中略)
また、台風が接近して来る場合、進路によって風向きの変化が異なります。ある地点の西側または北側を、台風の中心が通過する場合、その地点では、「東→南→西」と時計回りに風向きが変化します。逆に、ある地点の東側や南側を、台風の中心が通過する場合は「東→北→西」と反時計回りに変化します。
この図を見ながら考えるとわかりやすいと思います。台風自身の風は濃い青色の矢印を、台風を移動させる周りの風は薄い水色矢印を表わします。進路方向の右側では2つの矢印を同じ向きになりますから風はより強くなり、左側では2つの矢印が逆方向になるので風が弱まります。
ご存知の通り、日本を襲う台風のほとんどは南西方向から来て北東方向に抜けていきます。つまり、日本列島に沿うようにして九州方面から東北方面に移動していくパターンが一般的です。
このパターンの場合、風が強くなるという「進行方向に向かって右側の地域」はその地点の西側または北側を台風の中心が通過することになりますから、風向きは「東→南→西」と変わっていくことになります。
つまり初めは東の風が吹き、台風が近づくにつれて南の風が強くなり、離れていくにしたがって西風に変わっていくわけですね。
台風は離れていくにしたがい風速も徐々に弱くなっていきます、そして万一被害を受けたとしてもそのダメージが継続する時間は減少していきますから、やはり警戒すべきは近づくに従って段々強力になる東南の風ということになります。
そこで、強風による飛散物に対して窓に雨戸や防犯ガラスなどを設ける場合も建物の東南方向を重点に考えるのが効率的だとか、北西方向の玄関のほうが台風時には出入りがし易いとか、東南に向かて開ける扉は風に煽られやすいので避ける等々の対策案も浮かんでくると思います。
もちろん、台風の性質やその時の気象条件によっては北や西面への影響のほうが強くなる場合も考えられますので、全方向に対する強風対策を充分に取ることが最善であることは言うまでもありませんが。