福来たる
まあ いつもニコニコしていればいいことあるよ ってなことでしょうけど
ニコニコならば そんなことがあるかも知れないと思うけど
ヘラヘラ とか ニヤニヤ では どうも福は来そうにない
下手をすると おまわりさんがやって来る
で ぼくもいつもニコニコしているようにしてるんだけど
どうもご主人には ぼくが笑っているのが判らないらしい
確かに顔の筋肉の作りが違うんで 人間のような引きつった笑い方は出来ないけど
ほら 目尻が少し下がって 口元が少しニッとしてる時があるでしょ
あれが ぼくたちの笑い方
ご主人は 「もっとちゃんと笑ってみろよ」なんて好き勝手言ってるけど
「そんなら ちゃんと笑えるようにして頂戴!」と口答えしてやった
こればっかりは神様が決めたことだからね
そうそう 笑いことは大切だけど
いつも笑っていればいいかというと 実はそうでもない
時と場所を選ばなければ いわゆるT・P・Oってやつね
笑っていけないのは
そう
お葬式
ゴメンナサイをしているとき
偉い人のお話を聴いているとき
(特にみんなが笑いをこらえているとき)
酔っぱらいにからまれたとき
そして
堂々と大笑いをしていいのは
お笑い寄席やコメディーを見ているとき
でも このときの笑い方はニコニコでは景気がつかない
ハハハ とか ウヒヒ とかギャハハ なんかが良い
そういう訳で ぼくも大笑いがしたくなった
ギャハハ と言うやつをね
さっそく笑えるネタを探しに街にくりだした
昨夜の雨が止んで 今朝は埃っぽくもなく大変すがすがしい
どこかに面白いものはないか
だれか 笑わせてくれるものはないか
こうやって探してみると なかなかネタに巡り合えない
とつじょ
「ワハアハハ・・」近くで笑い声が聞こえた
「クスクス」
「ウフフ」
なんだろう なに? なに?
ぼくだけ笑いに取り残されてはなんのためにきたのかわかんない
必死で周りを見渡して笑いの根元を探して見れば
みんなの視線のさきには ぼくがいた
君たちがいて僕がいた
っていう歌があった らしい
たしか舟木一夫 っていうひとと
本間千代子っていうひとが共演した映画もあった らしい
涙をこぶしで拭っていたら
遠くでこっそり見つめてた
あの娘の瞳も濡れていた
そんな日暮れもあったけど ああ 君たちがいて僕がいた〜〜
というような歌 だったらしい
(ぼく まだ生まれてないからね)
だけど
今はそんな歌を思い出している場合ではない
なにせ
大笑いする人達がいて ぼくがいた
なんだから
わかる?
この嘲笑の的になった気分
しかも理由もわからずに
とにかく ?マークしか浮かんでこないのに
恥ずかしさだけが込み上げてくる
ぼや〜っと授業を受けていたら
突然 先生に指名されて
教室中のみんなの視線が一斉に注がれた時の状態といっていいかも・・
指名された理由がわからないので キョトンとしている点でも 実に似ている
似ていないのは 全く知らない人達の中 って言う点ぐらい
とにかく脇の下から冷や汗がツ〜ッ・・・・
モトイ 犬は汗腺がないので
口からヨダレがツ〜ッ
とにかく この状態から早く抜けださなくては
キョロキョロ周囲を見渡して なんとか突破口を探しにかかったぼくの目に飛び込んできたのは
ヘラヘラ顔の間抜け面(まぬけづらと読む)をした犬だった
こいつか〜
たれ眉やアイシャドウが墨で黒々と描かれている
口周りにも笑いじわがくっきりと・・・・正に間抜け面の典型
思わず ぼくも吹き出してしまった
ギャハハ ギャハハ
そいつも こっちを見て ギャハハ ??
周りのみんなも また ギャハハ
ショーウィンドウに写った自分の情けない姿をみて大笑いする犬と
それを見て大笑いする群衆 という構図がくっきりと現れている
いや〜 芸人はツライ!
(チクショウ ご主人め やりやがったな!)
日本の3大随筆って知ってる?
方丈記と徒然草と枕草子なんだってさ。
犬の小学校で習ったかな?
で、随筆って何かというと、
とにかくなんでもいいんで、
ダラダラ書いたやつらしい。
それなら・・
てな訳で書いたのがコレ。
細かいことは気にしないでね。
なんてったって犬だから・・
じゃあね ワンワン!