じゃ〜ん
ついにその時がきた
あの招き猫くんから呼び出しがかかったのだ
真夜中に「豊田スタジアム」で待ってるとのこと
ついに iPhone返せ といわれるのだろうか?
なんと言われようと 逃げ隠れする必要はない
どうしても返せと言うんなら 返せばいいだけの事
でもなあ
「おまえにやる」って言ったもんなあ
「その代わりに使い方を教えてくれ」というだけだったもんね
いろいろ悩んだけど
あの招き猫くんが なんていうのかがわからないんで どうせ結論は出せない
取り敢えず 行くだけ行ってみることにした
指定日の夜 とても寒かったど イルミネーションが その分 綺麗にまたたいていた
いたよ いたいた いつもとおんなじポーズで待っていた
「ハイ」
「ハイ」 (ちょっと外国風の挨拶がかわされた)
一瞬間をおいて おもむろに招き猫くん話し始めた
「どうじゃ イルミネーションがきれいじゃろう」
「うん・・」
「それで どう?」
「え!なにが?」
「また とぼけちゃって」
汗がドーッと流れた
「あ あれね iPhoneのことあるね」 (言葉がうまくでてこない)
「そう 教ええくれるっちゅう約束じゃないか」
「そうそう そうだったね」
どうしてこう卑屈な感じになっちゃうんだろう
やっぱり物を持つと それにとらわれちゃうんだなあ 情けない
なにも持たなきゃ 失うことを怖れたりしないのに
金持ちの不安感が分かるような気がする
「なにをブツブツ言ってるんじゃ」
もう こうなったら 開き直っちゃおう
「よし よし だいぶ使い方にも慣れてきたんで教えてやろう」
「そうか 使えるようになったか? 面白いか?」
「面白いのなんのって こんなに面白いものは無いね」
「ふ〜ん じゃあ教えて 教えて」
「じゃあ教えてあげるから 真面目に聞くんだぞ」
「ニャ〜」
だいぶ形勢が逆転した これでなくっちゃ これでなくっちゃ
それから 約3時間かけて ぼくはゆっくりiPhoneの操作方法を説明した
まだまだぼくの知らない機能もあるし 全部一度には伝えられないけど
彼もそこそこ使い方を納得したようだ(とぼけた顔のくせに結構頭は良さそうだ)
「どう 大体わかったでしょ?」
「ああ こんなに面白いもんとは知らなかった おまえにやって損した」
ギクッ! ついに来たか どうしよう
「でも 返してくれなんて言わないよね」
「そりゃ一度やったもんを返せなんて言えんけどね おまえが返したいっていうんなら話は別だけど」
なんか回りくどい言い方をしてきたぞ
ってことは やっぱり ぼくが返すのを期待してるのか
ついにぼくは最後の手段に出た
「じゃあSiriちゃんに聞いてみよう」
恐る恐るSiriちゃんに話かけてみる
「このiPhoneは誰のもの?」
「このiPhoneは早太郎さんのだとおもいますよ」
やった〜
(だって 持ち主はぼくだって事を 事前に教えこんであるんだから 当然といえば当然なんだけど)
招き猫君は肩を落として 寒空の中に消えていった
ぼくは複雑な気持ちでおうちに帰った
そして 一晩中 ねむれなかった
日本の3大随筆って知ってる?
方丈記と徒然草と枕草子なんだってさ。
犬の小学校で習ったかな?
で、随筆って何かというと、
とにかくなんでもいいんで、
ダラダラ書いたやつらしい。
それなら・・
てな訳で書いたのがコレ。
細かいことは気にしないでね。
なんてったって犬だから・・
じゃあね ワンワン!