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紀州犬の早太郎が徒然なるままに書き綴る独り言

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グーの巻

阿茶をこれへ

時は天正十二年 西暦で言えば1584年 4月の事

小牧・長久手の戦いにおいて徳川家康は
本拠地岡崎を奇襲せんとした羽柴秀吉軍の別働隊を追い
ここ色金山に陣を敷き 山上にて軍議を開いた

緊迫した軍議が一段落して一息ついた後
ふと 山上にある巨岩が目についた家康 ヨイショと上に登ってみた
見渡してみれば 思いの外 周囲の景色が良い
そのまま岩に腰を掛け 近くに居た小姓に言った 

「阿茶をこれへ」

阿茶とは家康お気に入りの側室「阿茶局」の事で この小牧長久手の陣にも同伴していた

戦陣に女性を同伴とはなんと不心得な と思われるかもしれないが
この時代には真によくある事

事実 阿茶局はこの陣中において懐妊している (後に流産)

紛らわしいことに 家康には「茶阿局」という側室もいた
どちらかと言うと美しいのはこの茶阿局の方だったが
家康が戦陣などにも連れ歩いていたのは阿茶局の方だった

家康が側室にしたぐらいだから いずれの女性も才色兼備だったに違いないが
阿茶局は色よりも才の方が勝っており 
時には家康の政策面での良き相談相手にもなっていた

家康はここ色金山においても 景色を見せながら 今決まったばかりの作戦について
阿茶局の感想なども聞いておきたかったのだろう

さて 「阿茶をこれへ」と命じられた小姓
なんとこれを「お茶をこれへ」と聞き間違えた

岩の上に腰を掛けて ゆっくりお茶を飲みたいのだろうと勝手に推察し
さっそく 抹茶をたて お菓子を添えて差し出した

「馬鹿者! お茶ではない 阿茶だ」

「アチャ〜」

と言うような会話が有ったか無かったかは知らないけど
ぼくは 家康が腰を掛けた岩が残るという色金山歴史公園にやってきた

あるある 「床机石」と書いてある石柱の後ろに それらしいのが

もちろん ぼくも家康と同じように登ってみた

千里の目を窮めんと欲したけれど
残念ながら その当時はなかったと思われる周囲の高木に邪魔されて
あんまり景色を堪能することはできなかった

あの英雄「家康」と同じ場所に腰掛けたということで一応の目的は達したんだけど
景色を堪能できなかった代わりにお茶(阿茶じゃないよ)でも堪能しようと考えたぼく

山麓にある茶室「胡牀庵」に立ち寄って おもむろにこう言った

「お茶をこれへ」





いちごぶらんとさがった

   

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随筆のイメージ

日本4大随筆のひとつ

日本の3大随筆って知ってる?
方丈記と徒然草と枕草子なんだってさ。
犬の小学校で習ったかな?
で、随筆って何かというと、
とにかくなんでもいいんで、
ダラダラ書いたやつらしい。
それなら・・ 
てな訳で書いたのがコレ。
細かいことは気にしないでね。
なんてったって犬だから・・
じゃあね  ワンワン!