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紀州犬の早太郎が徒然なるままに書き綴る独り言

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グーの巻

片葉の葦(あし)

屋台で酔っ払いが管を巻いている
もう大分出来上がっているようで 何かひとりごとを言ってはいるけど
何をしゃべっているのかは誰にもわからないし 誰も気にしない
そのうち 上体もぐらぐらして来て いまにも椅子から落ちそうな気配
見兼ねた周りの客の一人が 優しく注意する
「もしもし もうかなり酔っているようだから そのくらいで切り上げたらどうです」
すると 急に立ち上がったその男
「うるせー 自分の金で飲んでるんだ てめえなんかに指図されるいわれはねえ」
と せっかく注意してくれた人に向かって拳を振り上げた
はいいが なにしろ 酔っ払っているもんだから 
その拳も宙を切り はずみで地面にひっくり返ってしまった

ま よくある話

ところがおんなじ様な話なのに 俳優や舞台設定が違えば
長く後世に残る伝説となる


時は天正3年5月20日
ところは三河国長篠の医王寺 武田勝頼本陣内
シーンと寝静まった真夜中(草木も眠る丑三つ時ってやつね)

翌日の徳川・織田連合軍との決戦を前に
緊張の為なかなか寝付けないでいた勝頼

枕元に ふと異様な気配を感じて飛び起きれば
暗闇の中にかすかに見える白髪の老人

「なにやつ!」
脇に寄せてあった寝刀を左手にもって さっと抜き放つ

「待たれよ 勝頼殿 怪しいものではない」
(この時点で充分怪しいんだけどね)

「私はこの寺の弥陀池に住む者 貴殿に大切な話をしに参った
 明日の戦 両軍の戦力をコンピュータで分析したところ
 武田軍の敗北の確率は88%との計算結果がでた
 私がわざわざ貴殿に忠告する必要も無いわけだが 
 この寺に泊まられたのもなにかの縁じゃ
 とにかく 明日の戦いは中止して 即刻甲斐の国に帰りなされ」

武田信玄と言う類まれな戦国武将を父に持ち
信玄没後もなにかと比較され 力を疑問視されてきた彼

明日の一戦に勝って 父に劣らぬ名声を得たい しかも
戦国無敵と云われた武田の騎馬軍団をもってすれば充分に勝目はあると信じきっている

なにやらわけの分からぬ「コンピュータ分析」なんてものを持ちだされ
明日の戦いに向けて不吉な予言をされればカチンとくるのも当たり前田のクラッカー

「不吉なことを言う奴め 成敗!」と
有無を言わさず 老人の肩口に斬りつける

瞬間 煙のごとく老人の姿は消え去り
何事もなかったかのごとく 風鈴の音だけがかすかに聞こえている

悪い夢でも見たのかと思った勝頼
翌朝の出陣の際に ふと気になって寺前の弥陀池をのぞいてみたら
なんと前日まで青々と双葉茂っていた池の葦が全て片葉になっていたという

この話は士気に関わるため もちろん部下の誰にも告げずにいたが
天正10年 天目山で自刃する時に 近くにいた北条夫人の侍女達に思い出話のひとつとして話したという(らしい)

医王寺の弥陀池の辺りには
こんな漢詩の碑が建てられている

kata1.jpg


忠言元逆耳 人要反求深
片葉千秋恨 為誰尽素心


忠言元より耳に逆らう 人 反求の深きを要す
片葉千秋の恨み 誰が為に素心を尽さん


ま 自分が聞きたくない事を敢えて言ってくれる人の言葉は謙虚に聞け ってこと

わかった?酔っぱらいのおじさん!
「賢者は歴史に学ぶ」んだよ



いちごぶらんとさがった

   

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随筆のイメージ

日本4大随筆のひとつ

日本の3大随筆って知ってる?
方丈記と徒然草と枕草子なんだってさ。
犬の小学校で習ったかな?
で、随筆って何かというと、
とにかくなんでもいいんで、
ダラダラ書いたやつらしい。
それなら・・ 
てな訳で書いたのがコレ。
細かいことは気にしないでね。
なんてったって犬だから・・
じゃあね  ワンワン!