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紀州犬の早太郎が徒然なるままに書き綴る独り言

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チョキの巻

穴があったら入りたい

春のうららに 誘われてフラフラ と奈良公園にやってきた

そのあとは当然 乱されてユラユラ となるはずなんだけど
ぼくの心を乱すようなものは と・・・

あった! 美味しそうなせんべいが束になって150円で売っている
心はユラユラするものの 先立つものが無い
たかが150円 されど150円

でも ひょっとしたら あの売店のおじさんは親切そうだから めぐんでくれるかも
と あわい期待を込めて
「あの〜 おじさん そのせんべい ほしいんだけど でも おかねは無いんだけど」

「おまえ 犬だろ これ 鹿せんべいだぞ」
「え 鹿せんべい? 犬は食べちゃいけないの?」
「べつに 食べてもいいけど
 そんなに欲しいんなら あっちで観光客が鹿にやってるのが見えるだろ
 あそこにいって 鹿と一緒におねだりしてみたら」

仕方がないので言われるままに鹿軍団に近づいた
するとどうしたことでしょう
鹿たちが急に凶暴な目をしてぼくに近づいてきて
「ここはオレたちの島だぞ よそもんはあっちへいけ」だって

ふだんはおとなしそうな鹿くんなのに 食べ物のことになるとなんと意地汚いことか
自分のことは棚に上げて憤慨していると

「ちょっと ちょっと」
声がする方を振り返ってみると そこに一匹のはぐれ鹿が
はぐれ狼はこわいけど はぐれ鹿はこわくない

「なに?」
「きみ おせんべいが欲しいの?」
「うん まあ ほんとは犬せんべいがいいんだけど とにかくお腹がすいてるんでね」
「じゃあ ここにきて 僕と一緒にせんべいの食べ残しをさがしたら」
「え 食べ残し?」
そのあたりの地面には確かに細かくなったせんべいの破片が散らばっている

鹿せんべい

しかしなあ 落ちぶれたりとはいえ ぼくだって紀州犬
鹿せんべいを それも鹿たちが食べ残した破片をひろい食いするなんて う〜ん う〜ん

「ちょっと ちょっと 早くしないとみんな食べちゃうよ」

そこまで心配してもらっては 紀州犬のプライドはそこらの棚にあげておいて
ぼくもせっせと せんべいのひろい食いをすることになった

背に腹は変えられぬ とか 腹が減っては戦は出来ぬ なんて言葉をブツブツ唱えながらね

結構 うまい  味付けは控えめだけど これはこれでなかなかいける
しかし 150円というのはちょっと高いかも
これなら カルビーのかっぱえびせんのほうがコスパは高そうだ
しかし かっぱえびせんだと塩気が多いから体に悪いかな
なんて考えながらモゾモゾ食べてると

「お父さん お父さん 見て! 犬が鹿せんべい食べてるよ!
 鹿さんのおせんべいなのに あの白い犬が横取りしてる」

三つぐらいの女の子が大きな声で叫びだした

ちょっとちょっと 横取りはないでしょ とは思いながらも
周囲の人たちも さっきの鹿たちも みんながぼくの方を向いて笑いだすのを見たら

流石に 恥ずかしくなったぼく
棚に上げておいたプライドを背中に背負って一目散にかけだした
走りながらも 顔が真っ赤になっているのを感じる (はためには白い顔に見えるだろうが)

あ〜 恥ずかしい 
どこかに穴があったら入りたい!

と 大仏殿の中にかけこんで 大仏さんの周りをグルグル周りはじめたとたん そこに穴があいた柱が一本

大仏殿の柱くぐり

もちろん これ幸いに 頭から飛び込んだら
反対側から飛び出したぼくの姿を 観光客たちのカメラが一斉にとらえた
カシャカシャ パチリパチリ
(カメラのシャッタ音って どっちだったっけ ま どうでもいいけど)

翌朝 なぜか その写真が新聞の社会面にのった
「厄除祈願の紀州犬 大仏殿の柱くぐり」なんて見出しでね

それをみたご主人
「おまえもなかなか信心ぶかいやつだな
 まあ せっかく行ったんだから なんらかのご利益もあるだろう」

う〜ん さすがに鹿せんべいの話はできなかった

いちごぶらんとさがった

   

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随筆のイメージ

日本4大随筆のひとつ

日本の3大随筆って知ってる?
方丈記と徒然草と枕草子なんだってさ。
犬の小学校で習ったかな?
で、随筆って何かというと、
とにかくなんでもいいんで、
ダラダラ書いたやつらしい。
それなら・・ 
てな訳で書いたのがコレ。
細かいことは気にしないでね。
なんてったって犬だから・・
じゃあね  ワンワン!